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ガンバ大阪「ナチス旗」問題を取材検証! 本質は日本社会の差別への無自覚性、サッカー界は対策プログラムの導入を

 クラブの広報によれば、このグループが出したエンブレムは、ナチス親衛隊を意味する“SS”ではなく、“Sh”であって、ナチスの意匠をまねたものではあるが、ナチスに共鳴するような思想性はなく、たんにデザインを似せたものであるとのことだ。

 だが、その説明をそのまま受け取るわけにはいかない。実はこのグループがナチスの意匠をまねたエンブレムを使用していたのは旗だけではない。グループのお揃いのアパレルなどにもこのエンブレムを使っていたようで、そこではSS(Sh)の周囲に歯車をあしらったデザインになっている。

 この歯車のデザイン、欧州のいわゆる「ネオナチ」が多用するものなのだ。さらに、邪推になるやもしれないことをあらかじめ断りながら書くと、その“Sh”というのはグループ名“Sledge Hammer”(スレッジハンマー……鉄の槌のこと)の略であるが、この「スレッジハンマー」も欧州のネオナチや極右が、団体名やデザインなどでシンボル的に使うものなのだ。また、グループのメンバーにはスキンヘッドも何人かいることも知られている。スキンヘッド(坊主頭)もまた、欧州では極右やネオナチのお約束のヘアスタイル(?)である。これらをもってして、事情を知らない外国人ならば、彼らがネオナチや極右とみるのは当然のことと思うのだが、どうだろう。筆者もすぐには政治思想と彼らは関係がないとは信用することはできない。

 このナチス旗を問題視してTwitterで情報発信していたジャーナリストにダン・オロウィッツがいる。Jリーグを中心に取材するカメラマンでもある。彼の友人にはガンバ大阪のサポーターのイギリス人の友人もおり、その彼いわく「外国人にもフレンドリーに対応するゴール裏で、特にナチスとかの思想性は感じられなかった」とのことであるが、オロウィッツはそれが問題を軽くするものとは考えていない。

「そのエンブレムが“Sh”かどうかは問題ではない。だって明らかにナチスのマークなのだし事情を知らない外国人ならば皆、このチームのサポーターはネオナチや極右であると判断するでしょう」

 欧州から遠く離れて、アンダーグラウンドで跋扈するネオナチや極右の流行やファッションやデザインまで日本人は気づかないのだろう。が、さすがにここまで偶然というにはあまりにも不自然ともいえる材料がそろってしまうと、「思想性はない」などとは簡単に断言できない。もちろん、そのネオナチの意匠を意識してはいるが、思想的な「ノンポリ」だという見方もできる。その他のガンバ大阪のサポーターに聞いたところでも、そのような極右的な思想を吹聴したり、表明したりすることは見たことも聞いたこともないというのだから、実際はそうなのかもしれない。

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