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ピース綾部・又吉コンビが『しゃべくり』で最後の姿…綾部に渡米を決断させたのはやはり「コンビ格差」問題

「女性セブン」(小学館)2016年10月27日号でも、「よしもと男前ランキング」で3連覇の末に殿堂入りしたり、「熟女大好き芸人」などの豊富な話題性を武器にコンビを引っ張っていた綾部が、又吉の芥川賞受賞以降、その立場が逆転したことことで〈ギクシャクが生じてしまった〉と報じている。

 お笑いコンビにとって、そのような急激なパワーバランスの変化は深刻な影響を及ぼすようだ。ダイノジの大谷ノブ彦は、平野啓一郎との対談本『生きる理由を探してる人へ』(角川新書)のなかで、急激な変化に耐えられず自殺未遂を起こしたとの衝撃的な告白をしている。

 それは、いまから10年前。相方の大地洋輔が「世界エアギター選手権2006」で優勝したのがきっかけだった。

〈大地がエアギターの世界チャンピオンになったのが二〇〇六年で、ちょうどうちには子供ができた頃だったんですけど、ダイノジとして急にメディアに出られるようになったんです。ただ、僕のほうは大地の添え物みたいな感じになっていたんですね。もともとコンビの中では僕がイニシアチブをとっていたのに、そういう評価を受けてたんです〉

 ダイノジはもともとネタづくりを大谷が担当してきたコンビだった。さらに、自らが主催となって音楽イベントを企画したり、DJとしてロックフェスに出演したりと、お笑い以外にも活動の幅を広げるダイノジの独自の芸風をかたちづくったのは、やはり、サブカル知識が豊富でなおかつ戦略家の大谷によるものが大きい。

 しかし、「エアギター世界一」というキャッチーな肩書きが大地についたことにより、皆の視線は自分ではなく大地に集中するように。それ以降はコンビとしてではなく、相方にはピンの仕事の依頼まで来るようになっていった。そんななか、さらに大谷を追いつめる事件が起こる。

〈その少しあと、ちょっと先輩芸人に誤解されたことがあって……。こちらとしてはそれを誤解だと考えてますけど、悪い印象を持たれたことから、ある番組を干されちゃったんです。一週間前の台本には名前が入っていたのに、二日前になって急に名前がなくなったんですね。それはどうもその先輩が(中略)共演はNGだと言ったそうで。それを聞いたときには顔面蒼白になりました。「とりあえず何年かけてでも誤解を解いていきましょう」って当時のマネージャーが言ってくれたんですけど。家に帰っても心の中はザワザワしてました〉

 この時の先輩芸人とのトラブルに関しては大谷側が一方的に悪いというものではなく、音楽イベントにおけるギャラに関して会社の人との連携がうまくいかず、後輩のギャラ未払いが生じていたことだったという。

 そんななか、ついに事件は起きた。

〈次の日は劇場の出番があったんですね。妻に見送られて家を出て、そこから記憶がないんですよね。自分で記憶を変えてるところがあるのかもわかんないけど、ハッと気づいたら、いつもランニングしていたコースにある廃墟化していたビルの屋上に立ってたんです〉

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