国有地格安払い下げ問題が発覚後、安倍首相はまるで籠池氏を全然知らない人かのように突き放した説明を繰り返しているが、しかし、安倍首相と籠池氏がただの政治家と支援者を超えた関係にあったことは間違いないだろう。
たとえば「週刊ポスト」(小学館)3月3号に掲載された直撃記事では、籠池理事長は塚本幼稚園の副園長でもある夫人とともに安倍首相を絶賛しているのだが、そのなかで〈おもむろに夫人が、籠池氏の携帯電話の画面をチラッと見せる〉くだりがある。それは、驚くべきことに「安倍晋三の携帯電話番号」だというのだ。もし本物ならば、首相直通のホットラインがあるということであり、両者がただならぬ関係と考えるしかないだろう。
もちろん、昭恵夫人だけではなく安倍首相自身もまた籠池理事長と蜜月関係にあったことが、今回の国有地格安払い下げ問題にどう関わってきたか、徹底した追及が必要だが、それ以前の問題として、日本の首相がこんなトンデモない人物に強く共感していたという事実は、大きな問題だろう。
報じられているように、森友学園は保護者向けに「邪な考えを持った在日韓国人・支那人」「韓国人と中国人は嫌い」などのヘイト文書をばら撒き、塚本幼稚園のホームページにも〈(沖縄)現知事は親中華人民共和国派、嫁婿も支那の人である。もともと中共に従いたいと心から思っているので、中共の手先かもしれない〉などというデマを拡散。これはもはや“愛国教育”以前の問題だ。
しかもこの人、払い下げ問題やヘイトを反省するどころか、完全に開き直ってもいる。それがメディアの取材に対する放言連発だ。21日放送の『報道ステーション』(テレビ朝日)では、前述のヘイト文書についての認識を問われた籠池氏が「われわれの教育方針とは合わないわけでしょ。それなのにどうして(幼稚園に)入ってきたの」「(保護者が)ちょっとおかしいんじゃないかな」「変な人ですよ。おぞましい」などと語って、スタジオの富川悠太、小川彩佳両アナウンサーをドン引きさせた。
また、20日放送の『荻上チキ・Session-22』(TBSラジオ)のインタビューでは、「保守的な学校でありますので、潰してやろうというのが本音のところじゃないですかね」という陰謀論や、「(情報公開を求めた豊中市の木村真市議は)私たちの学校に対するちょっかいと国に対するいちゃもん。市会議員の立場でありながらなぜ国を訴訟するのかと。立場をわきまえてないんじゃないかと」などと言いがかりを連発。さらに、ヘイトスピーチについての認識を問われると、こんなことまで言い放って、ヘイトには当たらないと正当化した。