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安倍批判の風刺画「晋ゴジラ」が炎上した吉田照美…番組を降板させられても曲げない反権力への思い

吉田照美・作『この世界の片隅の君の名は、晋ゴジラ』 (吉田照美オリジナルHPより)

 吉田照美はこの間、一貫して政権の暴走や原発問題について批判してきた。吉田照美といえば『セイ!ヤング』(文化放送)をはじめ、どちらかといえば、報道よりもエンターテイメントの分野で活躍していたアナウンサーだ。そんなキャリアを積んできた彼が現在につながる社会的な発言をし始めた理由を「週刊ポスト」(小学館)2016年8月12日号ではこのように語っている。

「東日本大震災のとき、政治やジャーナリズムに不信を抱いたんです。原発事故に関してどれだけの真実が語られ、報道されているのか、と。それ以来、おかしいと思ったことはメッセージとしてリスナーに伝えることが自分の使命だと考えるようになりました」

 吉田が批判にさらされるのも承知のうえで権力者への疑問を語るようになったのは、マスメディアに携わる者として、メディアが本来行うべき「権力の監視」という役割を放棄し始めたことに危機感をもったからであった。「週刊金曜日」(金曜日)14年8月1日号ではこのようにも語っている。

「村上春樹さんにしても、東京電力から逮捕者が出ないのはおかしいと世界に向けて発言しているじゃないですか。でも一般的な報道は少なかった。権力が、村上さんの発言が広がるのを抑えているのだろうし、メディアにしても自主規制してるんでしょう。ぼくにはこれがわからない」

 そして吉田は、エンターテイメントに携わってきたマスコミ人として、文化・芸術に関わる人たちが口をつぐみはじめたことをとりわけ問題視している。前掲「週刊金曜日」のインタビューでは、原発反対を訴えた歌詞が理由でアルバムが発禁処分になろうとも常に反権力へのメッセージを発信し続けていた忌野清志郎の名をあげつつ、文化や芸術に関わる人たちを鼓舞していた。

「小出裕章先生がおっしゃっていた「音楽とか美術とか、表現する力を持っている人が頑張ってほしい」と。ぼくもつくづくそう思います。「明日なき世界」を歌ってくれた忌野清志郎さんの話に戻りますけど、清志郎さんのような人が出てこない。少ない。それが一番残念です。だって国民の大半は反原発なんだし、集団的自衛権の行使なんて誰も賛成していないじゃないですか。それを踏まえた歌。笑い。諧謔の人たち。(中略)だからぼくは、文化の救世主が現れてほしい」

 吉田照美が自身のラジオ番組でことあるごとに政権批判を語ってきたのは、マスコミ人として当然言うべきことを言ってきたという極めて真っ当なことをしてきたまでである。しかし周知の通り、テレビやラジオでそうした政権批判を口にするキャスターやコメンテーターが次々に降板させられるという状況が起きている。

 吉田自身も前掲「週刊金曜日」インタビューで、「でもね、そのうち何かがあれば、(放送が)終わるかもしれない(笑)」と吉田自身は自嘲気味に語っていたが、恐ろしいことにそれは現実のものとなってしまった。

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