この『凶気の桜』は、00年に『池袋ウエストゲートパーク』(TBS)、01年に『ストロベリー・オンザ・ショートケーキ』(TBS)と人気ドラマに連続して出演していた彼の人気や、映画版の方の作中で大々的に使われたキングギドラを始めとするジャパニーズヒップホップの効果もあり、ナショナリズムをファッショナブルなものとして広めてしまった作品でもある。
しかし、その窪塚がいまは冒頭に紹介したような政府批判、反戦を叫んでいるのだ。これは逆に言うと、ナショナリスティックな思想をもつ人間ですら現在の国民無視の政治には問題意識をもたざるを得ない状況なのだということだろう。一昨年の12月にはツイッター上でこのようにも語っていた。
〈街で自民党いるとイラつくw もし自民党が勝って、五輪後に向けて戦争まっしぐらになって、魂丸ごと散々叩き売っといて、また「家族を守る」「この国を、故郷を守る、ブレない」とか言い出したら、殺意に変わる自信あるわ。笑〉(改行はこちらで改めた)
現在の政権が押し進めようとしている「家族を守る」「故郷を守る」は、本当の意味での「守る」ではない。口当たりのいいことを言う彼らの裏にある真の思いはもう誰の目にも明らかだ。窪塚の発言の変化は、それを見抜いたがゆえのことなのは間違いない。
(新田 樹)
最終更新:2017.03.02 01:46