だが、もっとも態度があからさまだったのは、ワイドショーだろう。前述した富山市議会の政務活動費不正請求問題は各局とも熱心に報じていたが、稲田防衛相や菅官房長官らの白紙領収書問題を取り上げたワイドショーは、昨日の『直撃LIVE グッディ!』(フジ)が少し報じただけで、きょうはひとつもなし。富山市議会問題を大きく取り上げ、「恥ずかしくないのか」「セコい」などと批判を繰り出していた『とくダネ!』(フジ)も『ひるおび!』(TBS)も『情報ライブ ミヤネ屋』(読売テレビ)も、本日行われたリオオリンピック・パラリンピックメダリストのパレードや、相変わらず豊洲新市場の問題を延々と報じつづけた。
地方議会には強い調子で責め立てるのに、いざ政権の問題となるとピタッと口をつぐむ。本サイトでは先月、富山市議会を取り上げながら稲田防衛相の白紙領収書問題には触れないワイドショーの姿勢について、「各局とも、国会で大々的に追及されるか、本人が認めない限り報道しないというのが不文律になっている」と伝えた。だが、どうやら事態はさらに悪化しており、国会で追及され、さらには大臣が一般社会では絶対に通用しない理屈をこねくり回しても、“見ないフリ”で済ませるつもりらしい。
「国会でこれだけの政治とカネの疑惑が取り上げられれば、新聞やテレビも大きく報道するのがこれまでのパターンだったんですが……。おそらく、今回は菅官房長官が絡んでいたため、マスコミは一層、凍りついたんでしょう。菅さんは自分の批判記事や不正を書いたメディアには凄まじい報復をしますからね。日歯連からの迂回献金疑惑を報じた『週刊ポスト』なんて、名誉毀損裁判を起こされて、編集長が更迭されてしまった。古賀茂明発言問題のときは『報道ステーション』も裏では相当な揺さぶりを受けたようですし」(官邸担当記者)
マスコミのこの状況を見れば、白紙領収書問題がこのままうやむやにされてしまうのは確実だろう。いまの日本は、政権中枢に近い人間ならば、どんな犯罪を犯しても一切追及されない、ほとんど中国並みの独裁国家になりつつあるということらしい。
(編集部)
最終更新:2017.11.24 07:24