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稲田防衛相、夫が株を保有していた三菱重工、川崎重工、IHIと安倍政権“武器輸出政策”のただならぬ関係

 しかし、安倍政権が武器の海外輸出を事実上禁止する「武器輸出三原則」を撤廃したことで、防衛産業を取り巻く環境は大きく変貌した。14年6月、防衛省は「国産化方針」に代わり、新たに「防衛生産・技術基盤戦略」を策定。そこでは「世界と地域の平和と安全に貢献」というタテマエの裏で、こんな本音がだだ漏れになっている。

〈これまでは、武器輸出三原則等により、防衛産業にとっての市場は国内の防衛需要に限定されてきた〉
〈防衛生産・技術基盤の維持・強化の施策を通じ、(1)安全保障の主体性の確保、(2)抑止力向上への潜在的な寄与及びバーゲニング・パワーの維持・向上を実現し、ひいては、(3)先端技術による国内産業高度化への寄与をはかる〉

 ようするに、こういうことだ。これまで日本の防衛企業は「武器輸出三原則」の縛りをうけ、基本的に日本政府だけがクライアントだった。もっとも、それゆえに景気に左右されず、国が税金で「保障」してくれるという側面もあったにせよ、必然的に、防衛部門の規模は一定の割合にとどまり、採算が取れないケースもあったと言われる。

 しかし、安倍政権下で海外武器輸出が国策化されたいま、クライアントは未曾有の裾広がり。官民一体となって海外に武器の売り込みをかけるとともに、国内の生産体制を安定化させ、なおかつ米国との共同武器開発や国内ライセンス生産を進展させることで日米同盟の強化をはかろうというのだ。

 事実、稲田防衛相の夫が新たに取得していた三菱重工、川崎重工、IHIという大防衛企業の株は、こうした武器輸出や国産化推進の恩恵を大きくうける銘柄だ。さすがにインサイダー取引的な行為がなされていたとは思えないが、いずれにせよ、えげつない行為には違いない。

 たとえば川崎重工は今年7月、国産新型輸送機C2の量産初号機を航空自衛隊に納入。国産輸送機としては従来機のC1以来実に43年ぶりのことだ。さらに防衛装備品の輸出を目指す海外営業部も設立し、C2の海外輸出を目指している。7月14日付日本経済新聞によれば、アラブ首長国連邦や西側諸国など複数の国が関心を示しているという。

 また、三菱重工は国産初のステルス戦闘機の開発に参加、今年4月には先進技術実証機X2の初飛行を実施しており、その国産初の推力増加機能を備えたエンジンの製造はIHIが担当している。そして現在、離島奪還作戦などを念頭においた新型水陸両用車の日米共同開発研究が防衛省の中で既定路線となっているというが、この開発のベースも三菱重工の技術だ。背景にはアメリカと組むことで第三国へ輸出を進めたいという思惑がある。

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