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“奴隷”扱いされるベトナム人留学生たち、偽装留学をネグり外国人をブラック労働に駆り立てる安倍政権の国策が

 さらにこうした政府の方針により、悪質な日本語学校が乱立していく。

「多くの日本語学校は現地のブローカーの力を借りて、海外から留学生を受け入れる。そして入学金や学費に加え、狭いアパートに数人を押し込み、法外な寮費まで請求する。さらにはみずからがブローカーとなって、人手不足に直面する日本国内の工場などに留学生を斡旋する。そうした悪質な日本語学校は今、全国に溢れている」

 こうした実情を本書では“ブラック国家・日本”と表現しているが、まさにその通りだろう。しかも実習生を巡る問題はメディアが取り上げることは多いが、留学生については新聞など大手メディアが取り上げることはほとんどない。その理由は「そもそも新聞が、留学生たちの”奴隷労働“に支えられている」からだという。

「新聞配達は、人手不足が最も進んだ職種の1つとなっている。留学生の存在なしには、配達すらできない現場は少なくない。とりわけ都会では配達員がすべて留学生という新聞配達所まであるほどだ」

 本書では他にも実習生について監督官庁や、監理団体、そのバックの政治家による“国ぐるみのピンハネ”の構造や、外国人介護士の売れ入れ失敗など、数多くの問題が指摘されているが、それら問題の根本にあるのは外国人による労働が不可欠ながら、それを正面から議論せず、外国人を騙し都合よく利用している日本政府、企業、そしてマスコミの欺瞞だ。

「人手不足で単純労働者が必要だというなら、真正面から正々堂々と受け入れの是非を議論すればよいことだ。それもせず、『留学』と称して途上国の若者を受け入れ、“奴隷労働”にこき使う。その傍らで、日本語学校や専門学校、そして大学までもが、ビザと引き換えに学費を搾取する。これでは日本が国ぐるみで『ブラック企業』をやっているのと同じである」

 歪んだ日本の政策が外国人留学生を搾取し、苦しめ、また追い込まれた彼らの犯罪を増やし、さらに一部日本人の拝外主義を招くという悪循環を生んでいる。欺瞞に満ちたこうした外国人に対する政策を、今、本気で議論しなければならない時期にきている。
(伊勢崎馨)

最終更新:2017.11.24 06:59

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