NHK Eテレ『バリバラ』番組ページより
放送直前にパーソナリティのひとりだった高畑裕太容疑者が逮捕され、注目を集めた『24時間テレビ 愛は地球を救う』(日本テレビ系)だが、今年も「サライ」の大合唱で無難に幕を閉じた。しかし、その一方でネット上では、ある裏番組の“ぶっこみ”に話題沸騰となった。
その番組とは、テレビ業界で「もっともチャレンジングな番組」と評判の“日本初の障害者のためのバラエティ番組”である『バリバラ』(NHK Eテレ)。『バリバラ』はなんと、『24時間テレビ』が佳境に入りはじめた真裏の28日19時からの放送で「検証!〈障害者×感動〉の方程式」と銘打ち、真っ正面から「障害者に感動は必要なのか?」と疑問を投げかけたのだ。
番組はまず、「24」という字がプリントされたボードがアップで写され、出演陣全員が「笑いは地球を救う」と書かれた黄色地Tシャツに身を包むという手の込みようでスタート。もうこの時点で“『バリバラ』の本気”を見た思いだが、番組は骨形成不全症を抱え2014年に亡くなったジャーナリスト・コメディアンのステラ・ヤング氏によるこんなスピーチを紹介したのだ。
「手がない女の子が口にペンをくわえて絵を描く姿、カーボンファイバーの義肢で走る子ども、こうした姿を見たとき、みなさんは『自分は人生は最悪だけど、下には下がいる。彼らよりはマシ』だと思うでしょう。私たちはこれを“感動ポルノ”と名付けました」
感動ポルノとは一体、どんなものなのか。『バリバラ』は「たぶんこんな番組のこと」と言いながら、一例として架空の番組を放送した。そのタイトルは「感動ドキュメンタリー 難病になんか負けない!」。しかも出演者は、本家『24時間テレビ』に今回出演した、オリンピック柔道の元代表選手で現在は多発性硬化症を患っている大橋グレース愛喜恵氏だ。
悲壮感漂うピアノのBGMに乗せて紹介されるグレース氏。ナレーションは暗い調子で彼女の障害の重さを切々と伝える。──さっきまで『バリバラ』のスタジオでノリのいいトークを見せていたグレース氏を視聴者は観ているだけに、この典型的な“障害を抱えた大変な人”という描かれ方だけで大爆笑だ。