安倍晋三Facebookより
安倍政権が改憲を賭けた参院選の真っただ中、安倍晋三首相にとってはもっとも知られたくない「不都合な真実」が朝日新聞(7月1日付)のスクープによって暴かれた。2015年の公的年金積立金の運用成績が5兆円を超える大損失を出していたというのである。
安倍首相がアベノミクスの失敗を隠すために国民の年金を株につぎ込み巨額の損失を出しているのではないかとの疑惑は本サイトでも追及してきた。
今年1月の国会でも質問されたが、安倍は「年金運用は長期的に見るもの」などとノラリクラリとかわし、損失の事実を認めようとしなかった。だが、今回は年金運用の当事者であるGPIF(年金積立金管理運用独立行政法人)が厚労省に報告した財務諸表によって確認された数字だから、もはや動かしようのない真実なのだ。
ところが安倍は、朝日のスクープが出る4日前に自らの公式Facebookで「年金損失はデマ」という、それこそデマ情報を流していたのだ。その部分を引用してみよう――
〈こうした中で、「株価下落により、年金積立金に5兆円の損失が発生しており、年金額が減る」といった、選挙目当てのデマが流されています。しかし、年金額が減るなどということは、ありえません。このことを明確に申し上げたいと思います〉
時系列でいうと、安倍がFacebookに書き込んだのが6月27日、その3日後の30日にGPIFが非公開の運用委員会で「5兆円損失」の事実を厚労省に報告し、翌7月1日付の朝日にスッパ抜かれたという順番だ。そのため、非公開の資料が漏れたのは安倍がFacebookで「損失否定」の嘘をついているのを知った良識派の厚労省関係者が朝日にリークしたからともいわれている。
実は、GPIFが15年度に5兆円の巨額損失を出しているという情報はすでに今年4月頃から流れていた。GPIFの運用に詳しい専門家の試算として公表され、一部新聞も取り上げていた。民進党がこれを受けて「年金損失5兆円追及チーム」をつくり、批判もしていた。
ところが、安倍政権は例年7月上旬に実施されていたGPIFの前年度の運用成績の公表を、今年は参院選後の7月29日まで遅らせるという姑息な手段を講じて事実を隠蔽し続けた。それでも、選挙戦のさなかに急に不安になったのか、安倍自らがFacebookを使って「『年金5兆円損失』は選挙目当てのデマ」というそれこそトンデモないデマを流していたということなのだ。