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自民党がオバマ利用の“違法CM”をYouTubeに! テレビ放映は断念するもかわりに誇大広告ゴリ押し

 たとえば、前述したYouTubeの自民党CMでは〈雇用110万人増加〉と謳われているが、実際に2012年と2015年を比較すると正規雇用は36万人も減少。また〈国民総所得36兆円増加〉についても、そもそも国民総所得(GNI)は国民総生産(GDP)に海外からの所得を加算したものであり、むしろ実質GDPは第二次安倍内閣以降ほとんど伸びておらず、その成長率は民主党政権下の約1.7%(12年)よりも低い約0.5%(15年)だ。〈賃上げ2%達成3年連続〉に関しても、実質賃金は5年連続のマイナスであることは周知の通り。〈有効求人倍率全都道府県で1倍超〉も2005年以降初めてなだけなのに〈史上初〉を謳っている。明らかに自分たちに都合の良い数字を切り取り、大げさに宣伝している。

 これは、日本民間放送連盟の放送基準で禁じられている広告における「事実の誇張」に間違いなく該当するだろう。民放各局のCM考査部が難色を示すのも当たり前だ。

 しかし、前述のとおり、自民党はオバマ広島訪問を下げる条件として、この誇大広告じみた“経済実績”の数字を受け入れるよう迫った。

「代理店が『数字については絶対に譲れない』、と。それで、うちもオバマの件でガチガチに詰められていましたから、『オバマを下げるなら』というバーターを受け入れてしまった形です。いちおう、数字の部分に出典を明記してもらうことで妥結しましたが、これも言い訳のためみたいなものですよ。実際、一部の局では『あまり目をつけられるとかなわないから、この辺で手をうっておけ』という上層部の鶴の一声で現場が引かざるを得なかったという話も伝わってきています」(民放キー局関係者)

 しかも、実際に放映された自民党のCMを見ると、その出典のテロップさえも画面下部に目視できないほど小さく付されているだけだった。さらにこの間、各代理店はそれでも拒否する局に対しては「他局は受け入れましたよ」という揺さぶりまでかけて、各局を追い込んでいったという。

 公選法をシカトするだけでなく、弁護士を連れて乗り込み、切り崩し工作まで行って放送局を懐柔する自民党。そして、その圧力に飲み込まれて、法律違反にまで加担してしまう民放各局。こんな有様では、すべてのテレビメディアが“安倍自民党からのお知らせ”一色に染まってしまう日も近いかもしれない。
(編集部)

最終更新:2016.06.29 11:35

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