また、約10年前ではあるが、撮影で女優に対して強姦や暴行をはたらいたとして、10人以上のAV関係者が強姦致傷や傷害罪の容疑で逮捕され、10年以上の実刑判決をくだされた「バッキー事件」という事件が起きている。
AVメーカーのバッキー・ビジュアル・プランニングは、女優に対して事前に撮影内容を伝えないまま撮影を強行。合法ドラッグを摂取させたうえ意識が飛んだところを狙ってレイプしたり、殴る蹴るの暴行を加えたり、女優を水槽やプールに沈めてパニック状態にしたり意識を失わせたりする「水責め」を行うなど、残忍な撮影を繰り返していた。そのような行為により、直腸穿孔や肛門裂傷などの大けがを負った女優もいる。
そういう意味では、AV業界サイドもヒューマンライツ・ナウの報告書を頭から「ありえない」「昔の話」と否定してかかるののではなく、AV業界が自主的に、騙しや強制、非人道的な撮影が行われていないかをチェックし、それをゼロに近づけるような対策を講じるべきだろう。
紗倉まなは前述のインタビューで、ヒューマンライツ・ナウの報告書を疑いつつも、「メーカーもプロダクションも、そういう被害を訴える女のコが現れるのが前提の体制をつくっていけば、結果的に被害の声も減っていくんじゃないでしょうか」と提案していたが、今のところ、これがもっとも現実的な解決策かもしれない。
(田中 教)
最終更新:2016.05.01 11:47