20+1周年を迎えた新宿ロフトプラスワン(左・加藤梅造氏/右・平野悠氏)
新宿歌舞伎町のど真ん中。ゴジラヘッドがシンボルの新宿東宝ビルから目と鼻の先にある雑居ビル。その地下一階に、まるで魔窟のように口を開けているのが、昨年、開店20周年を迎えたトークライブハウスの先駆け「新宿ロフトプラスワン」だ。
「サブカルチャーの殿堂」とも称されるこの空間は、20年にわたって、政治や社会問題についての激論から、宗教、カルチャー、性、事件の真相など、テレビでは絶対に放送できないような企画を「タブーなし」でつくり続けてきた。
そのようなイベントで登壇するのは、うるさ型の作家、怖いもの知らずのジャーナリスト、右翼左翼の活動家、元犯罪者、ヤクザ、AV監督、宗教団体幹部……etcと、一癖も二癖もある人物ばかり。こんな人選でイベントを行って平和に終わるはずがない。
あの壇上ではいったいどれほど血なまぐさいトラブルが巻き起こってきたのか。まさに20周年“プラスワン”にあたる2016年、特別企画として、ロフトプラスワンの創始者である平野悠氏と、現場でイベントを統括してきた加藤梅造氏にインタビューを敢行。20年間に起きたトラブルの思い出を振り返っていただいた。そのなかには、聞いているだけで血の気の引くような紛れもない流血沙汰から、思わず笑ってしまうしょうもない言い争いまであるが、いずれのエピソードにせよ、ロフトプラスワン以外のハコでは絶対に起こり得ないものだ。
是非、楽しんで読んでいただきたい。
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その1 全国から右翼・民族派が!映画「靖国」試写会事件
ドキュメンタリー映画『靖国 YASUKUNI』をめぐる、怒号が飛び交った世にも珍しい映画試写会
まずご紹介するのは、日本の右翼運動史にも残るであろうイベントから。事件は2008年、日本在住の中国人映画監督である李纓によるドキュメンタリー映画『靖国 YASUKUNI』の上映中止騒動の中で起こった。当時、「週刊新潮」(新潮社)がこの映画を「反日」と報じたことから、ネットを中心としたバッシングが巻き起こり、ついには上映予定の映画館への自称右翼の街宣や抗議などによって公開が中止になったのだ。ちなみに映画館に街宣をかけた右翼は週刊誌の記事を読んだだけで、肝心の映画の方は観ていなかったらしい。