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「出エジプト記」が旅行コーナーに! TSUTAYA図書館の斬新すぎる分類問題はなぜ起きたのか? その危うさを考える

CCC カルチュア・コンビニエンス・クラブ株式会社公式サイトより


 カルチュア・コンビニエンス・クラブ(CCC)が指定管理者として運営する公共図書館、いわゆるTSUTAYA図書館がその独特の「選書」、「分類」の方法で物議を醸したことは記憶に新しい。一時ほど話題に上らなくなったが、何らかの「決着」がついたわけでもなく今後もCCCが運営する予定の図書館は全国にいくつもある状況だ。

 今回は「分類」に着目してみたい。CCC独自の図書分類法「ライフスタイル分類」は「わかりにくい」、「本が探せない」という苦情が多く寄せられた。他方、日本の公共図書館の99%では日本十進分類法(Nippon Decimal Classification : NDC)という図書分類法が採用され、「標準分類法」になっている。NDCはアラビア数字000~999の3桁を基本に大まかな分類から10ずつ細分化していく階層構造になっている。

 第1次区分(3桁の最初の桁数字で以下の10区分)の0総記、1哲学、2歴史、3社会科学、4自然科学、5技術、6産業、7芸術、8言語、9文学というテーマ別の分類になっており、図書館の本はこの基準にのっとって配架されている 。観点分類というこの方法では、同じテーマのものを一つの書架に集中できる。似た内容の本は近接する書架にあるので、関連の図書をみつけやすい。だが、弱点としては「1つのテーマが観点によって複数に分散してしまう」(日本図書館協会担当者)ことが昔から指摘されている。たとえば「パン」というテーマの場合、パン製造(食品工業)、料理としてのパン作り(食品)と観点が違えば複数の分類となる。

 日本図書館協会(以下JLA・設立から120年超、毎年全国図書館大会を100年以上開催)担当者はこう語る。

「CCCさんが独自分類にこだわるのはおそらく(上記のパンの例のように)、観点分類だと分散してしまう同じテーマのものを(書架の近い場所に)集めたいという狙いからだと思います」

 そのとおりだろう。TSUTAYA図書館が「ウリ」にしているが、その詳細が不明だった「ライフスタイル分類」について問い合わせたところ、行政などのクライアント向けに作成した資料を示す形での回答が返ってきた。以下がその概略だが、果たして得意分野の「旅行」「料理」については「周辺の情報を同じ棚に配置」する旨が謳われている(パンに関連するものは観点が違っていても1カ所に集められている可能性が高いだろう)。

 ライフスタイル分類には大ジャンルとして次の25の項目がある。旅行/料理/趣味・実用/住まいと暮らし/ファッション/スポーツ・アウトドア/美容・健康/アート/建築/文学・文芸書/人文/医療・看護福士/社会/自然科学/技術/産業/IT/歴史・郷土/ビジネス/語学・参考書/政治・国際/経済/法律/教育/児童書。これに書籍とは形態の異なる4つのカテゴリー(雑誌・コミック・洋書・AV資料)を加えた合計29の大項目があって、その下位に中ジャンル、小ジャンルを時代趨勢に合わせて柔軟に追加していく。

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