このコスト削減の波は、ランチメニューの変更だけにとどまらない。会場での警備や荷物検査もプロの警備会社の人間ではなく、普通のバイトに変わっているとの情報もある。14年5月に握手会会場で起きた傷害事件を機に、AKBの握手会では金属探知機が導入されるなど、厳戒な警備体制がとられるようになっている。しかし、最も重要視すべき安全面でのコストまで経費削減の対象となり始めているようだ。
そして、コストカットといえば、当然持ち上がってくるのが、リストラの話。最近、AKBグループでは卒業発表が相次いでいるのだが、この裏にあるのも、その厳しい懐事情だと考えるのが自然だ。現在、宮澤佐江、高城亜樹といったかつての選抜常連メンバーまでもが近々の卒業を予定しており、年内の卒業が予定されている人の数は2月中旬の現時点でもすでに10人を超える。特に、本店AKBでは卒業する人がとりわけ多く、通常劇場公演を行うのには16人メンバーが必要なのだが、それだけの人員を確保することができず休館してしまうことが増えた。しかし、それでもなお追加メンバーオーディションなどは告知されていない。
AKBグループは、1月10日、新潟を拠点にしたNGT48の劇場をオープンさせたばかり。AKBグループはこれまで国内4カ所、国外2カ所に姉妹グループを増やしてきたが、人口80万人の新潟市は街の規模としては群を抜いて小さい。このことから、発足前から採算がとれるのか疑問視されているが、母体の懐具合がこれではなんとも波乱含みのスタートとなる。
安倍政権と秋元康が近しい関係をもっていることもあり、2020年の東京オリンピック開会式・閉会式では、AKB48が出てくるのではとの話もある。しかし、この調子では、それどころか、4 年後にはグループそのものが消滅しているかもしれない。
(新田 樹)
最終更新:2016.02.15 12:25