スタジオはさらに重苦しい空気に包まれた。これから、何が起きるんだろう、とワクワクしながら見ていたら、杉村太蔵がいきなり割って入って、「そんなことよりですね、今回の独立騒動なんて、一般の企業ではよくあることなんですよ」と話を混ぜ返した。結局、デーブのコメントについては誰も触れないまま、なかったことのように流され、番組は進行してしまった。
「テレビは取材しないのか」という真っ当すぎるコメントさえ、MCの爆笑問題をはじめ、ひな壇の芸能人たちをピリつかせてしまう──。まさに異常な光景としか言いようがないが、逆にいえば、スタジオの芸能人たちはみんな「それを言うのはNG」とよく知っているのだ。
実際、その後になって、太田光が総括的なコメントをしていたが、それも「SMAPをかわいそうというのは、彼らに失礼だ」なんていう、本当にあたりさわりのないものだった。
本サイトでは何度も言及してきたし、前述もしたが、第一報以降、芸能マスコミはジャニーズ側、つまりメリー喜多川副社長におもねった情報しか出していない。スポーツ紙の報道だって、既報の通り、それは第一報の翌々日発売だった「週刊新潮」(新潮社)が“メリー氏からのパワハラが発端で飯島マネージャーが独立に動き出した”と解散危機の裏側を記事にするとの情報を掴んだジャニーズ側が、「新潮」の発売前に御用メディアのスポーツ紙を使って“飯島氏が中居らをそそのかしSMAPを分裂に追いやった”と先手を打ったにすぎなかった。
絶対的な権力を笠に着て自分たちに有利なように情報をコントロールしようとするジャニーズも醜いが、さらに醜いのはジャニーズに揉み手で乗るスポーツ紙。そして、この芸能マスコミの歪な構図のなかでスポーツ紙以上に罪深いのは、デーブの指摘通り、テレビ局である。
デーブの言葉にもあるように、この間、テレビはどの局も独自取材というものをまったく行っていない。やることと言えば、ただスポーツ紙をボードに貼り付け、紙面の文章を読み上げるだけ。つまり、ジャニーズサイドにコントロールされた情報だと知りながら、それを検証することなく流布しつづけているだけなのだ。
しかも、これまたデーブが言っていたように、テレビ局はSMAPメンバーをバラエティ番組やドラマで起用しており、関係も深いため、今回の騒動が表面化するずっと前から解散危機にあることを掴んでいたはずなのだ。事実、フジテレビは昨年の段階で飯島マネージャーに近い番組制作スタッフを人事異動によって現場から外している。それはメリー氏がいよいよ本格的に飯島外しを画策していることを察知し、ジャニーズに忠誠を誓うための人事だといえる。