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全国各地の神社が初詣客を狙って改憲の署名集め! 日本会議・神社本庁が指令、戦前復活の目的を隠す卑劣な手口

 ところが、「神社新報」2008年10月27日付「憲法の基礎となる神道精神を考える」という記事のなかで、神道政治連盟の田尾憲男・首席政策委員は憲法改正の目的として、「統治権の総攬者としての天皇の地位恢復」「表の政治機能と裏のお祭りが一体となって国が治まる」などと、その復活を主張しているのだ。

 さらに、この祭政一致とセットで神社本庁が狙っているのが「国家神道」の復活だ。国家神道というのは、日本の近代化にともなって推し進められた神道国教化政策のこと。この国家神道から、国民には天皇への絶対的な忠誠が強要され、日本だけが他の国にはない神聖な国のあり方をもっているという「国体」という観念が生まれた。そして国体は八紘一宇という思想に発展し、侵略戦争を正当化していった。

 しかし、敗戦後の1945年12月、GHQは神道指令を発布。神道は民間の一宗教法人とされた。その後公布された日本国憲法では、第20条の1項と3項で厳しく政教分離が定められた。

 1. 信教の自由は、何人に対してもこれを保障する。いかなる宗教団体も、国から特権を受け、又は政治上の権力を行使してはならない。
 3. 国及びその機関は、宗教教育その他いかなる宗教的活動もしてはならない。

 神道指令とこの日本国憲法により、国家神道は廃止されたわけだが、神社本庁はその復活を目論み、自らの支援する神道政治連盟所属の自民党議員に働きかけてきた。

 実際、自民党が2012年に発表した憲法改正草案では、天皇の地位を「象徴」から「元首」に改める第1条以外にも、政教分離を定めた第20条の1項と3項がこのように変更されている。

 1. 信教の自由は、保障する。国は、いかなる宗教団体に対しても、特権を与えてはならない。
 3. 国及び地方自治体その他の公共団体は、特定の宗教の為の教育その他の宗教的活動をしてはならない。ただし、社会的儀礼又は習俗的行為の範囲を超えないものについては、この限りでない。

 現行憲法は宗教団体“が”「政治上の権力を行使」することを禁じているが、自民党案20条1項では、その部分を削除している。つまり、宗教団体が「政治上の権力を行使」することが可能になるのだ。また、3項の「社会的儀礼又は習俗的行為の範囲を超えないものについては、この限りでない」というのも、神道にのみ政治活動への一体化を容認するものだ。

 もうお分かりだろう。安倍政権による改憲は、まさに祭政一致と国家神道の復活を宿願とする神社本庁の意向を反映したものなのだ。そして、神社本庁は今回、この危険極まりない改憲を何も知らない初詣客に賛同するよう呼びかけている。

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