★4位 東京五輪問題の根本的戦犯である電通の利権独り占めに触れないテレビ・新聞、週刊誌
新国立競技場をめぐるドタバタ劇に、佐野研二郎氏のエンブレム騒動など、今年のメディアを賑わせつづけた2020年東京オリンピック問題。これらの戦犯として東京五輪組織委員会の森喜朗会長の名が取り沙汰され、週刊誌ではその責任を問う声が見られたが、しかし、その裏でメディアが追及しなかったのが、電通と博報堂という大手広告代理店の責任問題だ。
たとえばエンブレム問題では、審査委員長の永井一正氏は佐野氏が博報堂時代に師事した間柄で、審査委員の長嶋りかこ氏も博報堂時代の佐野氏の部下だったりと、裏には博報堂人脈があった。また、公式エンブレムの公募開始前に佐野研二郎氏をふくむ8名のデザイナーに応募を要請し、2次審査へ進ませるよう要望、永井氏に耳打ちして投票を行わせていたのは、槙英俊・組織委マーケティング局長と、組織委クリエイティブ・ディレクター兼審査委員の高崎卓馬氏という電通からの出向組だった。さらに、高崎氏はパクリが発覚したサントリーのトートバッグなど、電通の仕事でも、佐野氏を重用しており、エンブレムでも佐野氏をプッシュしたとの疑惑が浮上した。
こうした“広告クリエイター村”の癒着については一部週刊誌でも問題視する論調が見られたが、しかし、問題の本質はもっと根深い。
そもそも2020年の東京五輪は、招致活動から一貫して電通が食い込み、開催決定後はマーケティング専任代理店に選ばれたという経緯がある。つまり、あらゆるマーケティングや広告利権をすべて電通に集約させるよう動いていたのが、高崎氏ら社員だったのだ。本来はこの根本の問題こそ追及されるべきなのだが、電通といえばテレビや新聞、雑誌という日本のメディアの広告を牛耳る巨大組織。兵站である社員は批判できても、本丸をバッシングすることはできない、というわけだ。
槙氏と高崎氏は事実上の更迭という人事がなされたが、これはたんなるトカゲの尻尾切り。電通の利権ひとり占めという構造的問題は、メディアによって掘り下げられることはないまま、2020年まで放置されていくはずだ。