★6位 新聞もテレビも「増税賛成」! 官邸と財務省に支配された消費税議論
来年4月に10%に引き上げられる消費税の増税問題。テレビや新聞は食料品をめぐる軽減税率の話題を大きく取り上げたものの、景気が頭打ち状態のなかで増税を行うことの是非を問うことは一切なかった。
それは、財務省の幹部が以前から「ご説明」と称して、テレビ、新聞各社の報道幹部のもとを訪れ、籠絡していたからだ。実際、2014年の増税の際にも、すべての新聞、テレビが全面賛成。反対を主張する社はひとつもなかった。
今回の軽減税率の対象品目拡大についても、参院選の人気取り政策にすぎず、実際は富裕層ほど負担が少ない逆進性をカバーすることができないのは、明らかだったが、しかし、新聞もテレビもその点に一切触れず、「何が対象品目になるか」という話題で国民の目を反らし続けた。
安保法制でさえ反対の姿勢を打ち出す新聞があったことを考えると、この問題のタブー性がいかに強固であるかがよくわかるだろう。
実はこの背景には、新聞の国民に対する裏切り行為があった。新聞各紙は一方で増税に賛成しながら、自分たちの商品である新聞を軽減税率の対象にするよう政府、自民党に働きかけ、交渉の末、それを勝ち取っていたのである。しかも、この新聞への軽減税率適用はかなり前からほぼ決まっていたが、正式発表されるまでテレビ、新聞ともほとんど報じなかったのだ。
これは、何も、新聞が自分たちだけ利益誘導したというだけの話ではない。マスメディアの使命は“権力の監視”であるにもかかわらず、政治権力に頭を下げて、こんな借りをつくってしまったら、今後、新聞が政権批判や政策批判ができなくなるのは目に見えているではないか。テレビ局が放送法で完全に政権に首根っこを押さえつけられている中、新聞までが軽減税率で政権にさからえなくなったら、もはやこの国に政権批判ができてかつ一定の影響力を持った報道機関はなくなってしまうということである。
オーバーではなく、この軽減税率問題が日本の「報道の自由」崩壊のダメ押しになるかもしれない。
-------------------------------------------------
まずは10位〜6位をざっと紹介したが、いかがだっただろうか。言論状況の閉塞、メディアの体たらくにはつくづく閉口してしまうが、つづけて発表する5〜1位は、もっと暗澹とするようなタブーが続々ランクインしている。しかし、どうか後編も記事に目を通し、2015年の最後の日、この国のメディアの現実に向き合っていただきたい。
(編集部)
最終更新:2016.01.01 07:35