『まいにち、修造!』(PHP研究所)
さて、下記の5つの言葉には、「松岡修造のスローガン」と「相田みつをの詩」が混在している。これを仕分けできるだろうか。平仮名の多さで相田作品だと判別できてしまうので、一部を漢字変換させてもらい、「!」の多さで松岡作品だと判別できてしまうので、一部の「!」をカットさせてもらった。
1:悔しがればいい、泣けばいい、喜べばいい。それが人間だ
2:大丈夫って文字には、全部に人って文字が入っているんだよ
3:自分にエンジンをかけるのは自分自身だからね
4:本気でやれば疲れないから 疲れても疲れが爽やかだから
5:わがままではなく、あるがままに
答え合わせは後回しにするとして、おそらくこの5つを完璧に仕分けられる人はいないだろう。とにかく質感が似ている。これらを並べて比較し、五輪エンブレムを作ったデザイナーの他作品に向けられたような「あぶり出し」をしたいわけではない。松岡修造自身、相田みつをからの影響を重ねて表明してきた。相田みつを美術館のウェブサイトにもコメントを寄せており、相田の「『ともかく具体的に動いてごらん 具体的に動けば具体的な答えが出るから』を大切な言葉にしています。僕自身、プロになる前から、この『具体的に動く』ということの大切さを実感し、実践してきたと思っています」と明かしている。
今年、書店店頭に溢れた「日めくり」カレンダー。松岡修造『まいにち、修造!』(PHP研究所)のヒットを機に、ヒロシ『まいにち、ネガティブ。』(自由国民社)、NON STYLE井上『まいにち、ポジティヴ!』(ワニブックス)、江頭2:50『まいにち、エガ!』(自由国民社)まで、堂々たるパクリ商品もそれなりにヒットしている。松岡修造『まいにち、修造!』と第2弾『ほめくり、修造!』は累計で約170万部とのことだから、昨今の出版界における最たる発明品だろう。このシリーズの担当編集者が「市ケ谷経済新聞」のインタビューのなかで、「日めくりの企画を考える中で、イメージしたのは相田みつをさん」と語っているように、そもそも、相田作品に信奉していた松岡に、相田さんのような「日めくり」を、と提案して成就したのが本企画のようだ。双方が「相田みつを」という存在を意識していたからこそ結実したのだ。