山口めろん『アイドルだって人間だもん! 元アイドル・めろんちゃんの告白』(創芸社)
先日発表された『第66回NHK紅白歌合戦』の出場者から、ももいろクローバーZ、SKE48、HKT48といった昨年出場の人気アイドルグループが相次いで落選。ついに「アイドルブームも終焉か!?」とささやかれている。
そんな最中、2015年1月に、あるグループを卒業した元アイドルが自分の芸能人生と業界の有り様を暴露した本を出版した。
著者は、つんく♂がグループの名付け親ということでも知られる「怪傑!トロピカル丸」に所属していた山口めろん。彼女が著した『アイドルだって人間だもん! 元アイドル・めろんちゃんの告白』(創芸社)には、「アイドル」という仕事を続けていくために耐え忍ばなくてはならなかった苦悩が赤裸々に綴られている。
まず彼女は、アイドルの衝撃的な金銭事情を明かす。
〈アイドルとしての収入は、ほぼ0円でした。
それどころか、最初の二年間は交通費も支給されず、むしろマイナスだったことも……〉
給料はおろか交通費すら出ないということは、生活費はほぼバイトでまかなわなくてはならない。なので、彼女は〈ライブが終わったらそのままバイト先へ向かい、朝までひたすら働いて、そのまま寝ないでライブへ向かう……という、なんとも鬼畜過ぎる週末を、ほぼ毎週のように送っていました〉と、「女工哀史」とでも呼びたくなってしまうような厳しい日常を送ってきた。
では、彼女はどれくらいの貧困状態にあったのか? それは本書に綴られているアイドルらしからぬエピソードを読むとよく分かる。
〈改札口にICカードをタッチすると、『ピンポーン』という音と同時に、私は改札に引っ掛かってしまいました。
ICカードの残高を確認してみると、なんと13円……。
電車の初乗りの料金にも達していなかったため、駅構内に入ることも許されませんでした。
タイムリミットは一時間半。
この時間内に、何とかして都内へ出なければ遅刻してしまいます。
貯金が底をついており、ATMへ向かっても無駄な私は、急いで家へUターンしました。〉