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『おそ松さん』だけじゃない! 放送禁止・DVD化禁止…あのドラマ、アニメ、映画がタブーになった理由とは

 同じく、被爆者差別に関わる作品として有名なものに映画『ノストラダムスの大予言』がある。五島勉の同名ベストセラー書籍のブームに乗っかり、丹波哲郎や由美かおるといった俳優陣をキャスティング。6億5000万円もの制作費を投入した映画だが、公開1週間で問題が発生した。死の灰の影響により狂人となったニューギニア人が人を食べるシーン、水頭症を連想させる核戦争後の新人類のイメージ、その2つの場面が反核団体より抗議を受ける。それを受け、東宝は謝罪文を発表したうえ該当シーンを削除して再上演することとなった。ただ、この映画には前述シーンのほかにも、発狂した男が木の上で「どんぐりころころ」を歌う場面など、問題になりそうなシーンが頻出しており、大槻ケンヂは小学生の頃に見たこの映画を「トラウマ映画」として折に触れてエッセイなどに綴っている。こちらの作品も日本においては一度もソフト化されていない。

 放送禁止映像となる作品のなかには、これまで見てきたような、その作品の描写自体に問題があるという事例のほかに、現実の社会で起きた事件との関係により闇に葬り去られた作品というものも存在する。その最たる例が、木村拓哉主演のドラマ『ギフト』(フジテレビ系)。この作品のなかでキムタクがバタフライナイフを扱うシーンに憧れを抱いたと語る中学生の少年が女性教諭を殺害する事件が発生したことから、再放送を予定していた放送局はすべて放送を自粛。それ以降、このドラマが再放送されることは今にいたるまでない。

 また、直接事件そのものと関わりはなくても、「自粛」ムードのなか、放送内容を変えざるを得なかったものもある。テレビアニメ『吸血姫 美夕』(テレビ東京系)は、「酒鬼薔薇聖斗」による「神戸児童連続殺傷事件」を受けて、第2話「次の駅で」の首を切るシーンをカットして放送した。また、それから後の話も、残酷描写を控えるかたちに修正されたという。この「神戸児童連続殺傷事件」は『吸血姫 美夕』以外にも多くの作品に影響を与える。堂本光一が主演したドラマ『銀狼怪奇ファイル』(日本テレビ系)は、再放送時に第1話「二つの頭脳を持つ少年 恐怖! 学園に首なしライダー出現!」、第2話「生き返る死体!? 暴かれた首なしライダーの悲しい正体」が放送自粛。また、ドラマ版『エコエコアザラク』(テレビ東京)は、内容を鑑み、全26話を予定していたところ18話で打ち切りとなっている。

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