自分のことだけを考えて、文句を言ったり、力で押さえつけたりする大人たちに囲まれて、子供たちがサッカーを楽しめるはずもない。まったくもって、何のための少年サッカーなのか分からない状態だ。
イングランドから来日し、記者としてJリーグを取材しているショーン・キャロル氏は、日本の少年サッカーの現場を観た感想を同書でこう述べている。
「僕はいつもキックオフの2時間くらい前に着いて、スタディアムの写真を撮ったりするのね。その時に小学生の前座試合を見た。コーチが6〜8歳くらいの子に凄く怒ってるの。『お前はダメだ』『お前は下手糞だ』『今日はビッグチャンスだったのによ!』って怒鳴って、皆が泣きそうだった。(中略)あれじゃ、サッカーが楽しくないよ。だから日本の子には笑顔が少ないね」
小学校低学年の子供たちにパワハラをするコーチというとんでもない光景に多くの観客が心を傷めたことだろう。こんなことでは、子供たちもどんどんサッカーを嫌いになってしまうはずだ。
「ブラック化」が進んでいる日本の少年サッカー。日本サッカーが停滞気味なのはこういうところにも原因があるのかもしれない。
(田中ヒロナ)
最終更新:2015.11.11 11:49