実は官邸は今、警備・公安警察を自由に動かせるチャンネルをもっている。それは、内閣官房副長官の杉田和博氏の存在だ。杉田官房副長官は警察庁警備局長を務めた元エリート警察官僚。安倍首相が内閣官房副長官として頭角を現した時期に、同じ内閣官房で内閣情報官、内閣危機管理監をつとめており、安倍首相と急接近したといわれている。
退官後は、世界政経調査会というGHQ占領下の特務機関を前身とする調査団体の会長を務めていたが、第二次安倍内閣で官房副長官に抜てき。以来、警察庁時代の部下である北村滋内閣情報官とともに、安倍政権と公安警察をつなぐ役割を担っている。
「内閣情報官の北村氏が安倍首相と頻繁に会い、安倍政権のために公安の現場を使って謀略情報を集めているのは有名な話ですが、杉田副官房長官のやっていることはもっと露骨です。警察の要望を官邸にあげ、その見返りに、官邸の意向を捜査や警備のやり方に反映させる。安倍政権になって、警備や公安の動きが強引になりましたが、これも杉田氏が後押ししていると言われています。しかも、官邸とのパイプを握っていることで、杉田氏自身の警察組織への影響力はどんどん大きくなり、いまや“公安警察のドン”とも言われるようになっている」(公安担当記者)
その杉田官房副長官の子飼いと言われるのが、今回、機動隊を投入した警視庁のトップ・高橋清孝警視総監だ。高橋総監は杉田氏と同じ、警察庁警備局長出身で、前任者よりも年次が古いという異例の人事で今年、警視総監に就任したのだが、この警視庁初の人事の背後にも、杉田官房副長官の強いプッシュがあったと言われている。
そして、今回の警視庁機動隊の辺野古投入も、この両者の関係によって行われた可能性が高い。
「たしかに、今回の機動隊投入は、杉田官房副長官が高橋警視総監に直接依頼したと言われていますね。もちろん、その背後には、菅(義偉)官房長官がいるでしょうが。菅さんは、翁長知事との会談などでも恥をかかされた形になっていることもあり、沖縄にはとにかく相当、強行になっていますからね」(官邸担当記者)
先の戦争でも、そして戦後も、常に本土の犠牲にさせられてきた沖縄。安倍政権はそんな場所に本土の“暴力装置”を送り、住民の声を抹殺しにかかっているのだ。沖縄の怒りを考えると、もはや言葉もない。
(田部祥太)
最終更新:2015.11.09 07:33