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作家・島田雅彦が安倍批判小説を発表!「安倍自民はルペンやネオナチと同じ極右」との批判も

 ──安保法制の議論では、安倍首相を筆頭に賛成派たちは「代案を出せ」の一点張りで論争を拒否してきたが、そうした経緯もあって島田氏は小説内の「談話」というかたちで「代案」を示すことにしたのだろう。島田氏は〈こちらの方が自民党の安保法案より百倍現実的である〉(「本の雑誌」10月号/本の雑誌社)と書いているが、たしかに頷ける。

 しかも島田氏は、小説のみならず、前述した『優しいサヨクの復活』で、保守とは名ばかりのネトウヨまがいへと成り果てた現政権が企む戦前回帰の政策を徹底的に批判している。

〈多くの人は保守と右翼を混同しているが、実は全くの別物で、いまの自民党議員たちの主張を聞く限り、保守というより、ルペンやネオナチのような極右に近い。本来、保守主義というのは、ある程度の政治経験と歴史に対する理解がないと成立しないもので、伝統と経験に基づいて作られた社会を性急に変化させることには慎重な態度を取る。だが、極右は「押しつけ憲法」を拒否し、軍備拡張をし、公然と中国を敵国と見做す。実際、安倍晋三の政治姿勢は左派や自民党内のリベラル勢力を一掃するクーデターのようなものだった。「問答無用」で安保関連法案を成立させてしまったところも二・二六事件の青年将校みたいであった〉
〈現行憲法を押しつけだからといって改めようとするくせに、同じ押しつけである日米安保条約は頑なに守ろうとする。つまりは日米安保を憲法の上位に置こうとする政治方針なのである〉

 そして、自民党の憲法改正草案についても、〈国民を国家の暴力から守る憲法から国民を戦争に駆り出せる憲法へ。これは明らかに「憲法改悪」だ〉と怒りを滲ませる。とくに、「戦後レジームからの脱却」などと言いながらアメリカとの関係を見直すことは拒絶し、先の戦争への反省もなく愛国・軍国主義への道を歩む安倍首相への言葉は舌鋒鋭い。

〈祖父の屈折を孫が踏襲する。一族の政治的DNAに翻弄される日本はほとんど江戸幕府に先祖返りしたかのようだ〉
〈事情説明も支離滅裂で、野党議員の質問にもまともに答えられない総理は、それこそ国会の場でしか生きられないだろう。一般社会でそのような態度を取る者は誰にも相手にされなくなるはずだ。そのような人物であっても、血筋が良ければ、総理になれるこの国は徳川時代のままなのか?〉

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