しかし結局有働の独立はなかった。その後も、星野仙一、井上康生、電通マン、公認会計士、NHKスポーツ局幹部などとの熱愛スキャンダルが報じられるが、しかし有働アナには特にお咎めがなかった。それどころか01年からは紅白司会を3年連続して務め、02年からは『NHKニュース10』スポーツ担当に、そして04年には同番組のメインキャスターへと順調に出世していく。
当時のNHKは女子アナに清廉潔白を求めスキャンダルには厳しく、例えば膳場貴子は離婚発覚、別男性とのツーショットを取られただけで番組を降板させられたし、ディレクターとの不倫怪文書が出回った黒田あゆみ(現・渡邊あゆみ)も番組降板、道傳愛子も不倫騒動でバンコクへと左遷されている。これらの例に比べて有働アナはいかにも“特別待遇”だ。
そのカギを握るのは有働アナの幹部、上層部からの寵愛、とくに1997年から2005年までNHK会長をつとめた海老沢勝二氏の存在があった。会長時代の海老沢氏は“エビ・ジョンイル”の異名をもち、“NHKのドン”として独裁的権勢を振るった会長だ。
その海老沢氏から有働アナが多大な寵愛を受け、親密な関係さえ取り沙汰されていたのは多くのメディアが報じている有名な話だ。
「とにかく有働は海老沢さんのお気に入りでしたから」(「週刊文春」2005年8月11・18合併号/文藝春秋)
「有働と膳場がいかに(海老沢)会長に寵愛されてきたか。他のアナウンサーたちと比較すれば一目瞭然だ。有働は五輪キャスターを4度、紅白司会も3度も務めている。『看板番組である紅白の司会は、会長の意向を抜きには決められません。寵愛のほどが分かろうというものです』(NHKの関係者)」(「週刊新潮」04年12月30日・05年1月6日合併号/新潮社)
「(石井選手との密会騒動が)不問に付され、五輪中継に起用され続けたのも、海老沢さんの意向が働いたからだといわれています」(「週刊ポスト」05年2月11日号/小学館)
「(『ニュース10』抜擢に関し)とにかく彼女は海老沢会長の大変なお気に入りなんです(略)テレ朝の古舘にも“有働なら対抗できる”と上層部の信頼も厚い」(「週刊現代」04年4月10日号/講談社)
「海老沢会長とは禁断の関係だったんです。彼女の前で会社の愚痴でも言おうものなら、全て会長に筒抜け。反海老沢や彼女と仲の悪い人たちが次々と地方へ飛ばされたり」(「実話GON!ナックルズ」05年10月号/ミリオン出版)
有働アナはエビ・ジョンイルの“喜び組”とさえ揶揄されるほどの関係だったのだ。そのため海老沢氏が04年に発覚した裏金問題や使い込みなどの責任を取って会長を辞任した際には、有働アナも粛正され、そのために退職するのではと囁かれたほどだった。
しかし、ここでも有働アナは干されることはなく、独立もすることはなかった。その理由は海老沢氏に代わって会長となった橋本元一氏やスポーツ局幹部など上層部からの寵愛を受け続けたからだ。そして06年には『スタジオパークからこんにちは』の司会を務め、07年にはNHKとしては異例のアナウンサー職のままニューヨークへ異動、さらにニューヨーク赴任中の08年には先輩を差し置いて管理職であるチーフアナウンサーに抜擢される。そして10年に帰国して以降、『あさイチ』や紅白総合司会として大活躍を見せている。