『東京のDEEPスポットに行ってみた!』(彩図社)
アミューズメントスポットなら、東京スカイツリーや東京ディズニーランド、ショッピングなら、六本木ヒルズに東京ミッドタウンなどなど、東京は観光名所の宝庫。2020年の東京オリンピックを目指して、観光客を惹き付けるスポットはこれからますます増えていくことだろう。
しかし、「東京」で楽しめる観光スポットはいまあげたような華やかなものばかりではない。ちょっと刺激的で「アングラ」な雰囲気を楽しめる観光スポットにも事欠かない街なのだ。最近出版された、のなかあき子『東京のDEEPスポットに行ってみた!』(彩図社)には、「るるぶ」や「じゃらん」などの観光ガイドには決して載らない、東京の秘められた一面が紹介されている。
まず紹介されていたのは、品川区にある「アンダーヘアカットサロン」。ここは名の通り、陰毛を整えてくれる、シモの美容師さん。剃毛処理を専門とする男性用サロンであり、微妙な部位を扱う店ではあるが、風俗店ではない。
そんな店が必要なの?と思う読者の方も多いかもしれない。そう思われる方は、一回、家にある適当なハサミで陰毛を切りそろえたり、カミソリで剃ったりしてみて欲しい。鋭利にカットされた毛や生えかけの毛が股間をチクチクと刺激し、日常生活を送ることが不可能なレベルの痒みに襲われるはずだ。筆者も経験があるので、その地獄のような苦しみがよく分かる。
さて、本の中身に戻っていこう。著者である、のなかさんが選んだのは90分1万5000円のコース。担当してくれたのは、スレンダーな体型が印象的な熟女であったという。施術はいきなり下の毛の処理に入るのではなく、まずは全身指圧やマッサージから始まる。そして、仰向けになり、ついに陰毛の処理へ。
〈熟女は、火のついた線香を片手に微笑んでいた。
「これで毛を焼き切って、先端を丸くしていきますね」
櫛で毛をすくいながら丁寧に毛先を焼き切ると、確かに毛先は丸みを帯びていた。
チリチリという音と共に、毛のタンパク質が焦げる香りが線香の煙に溶けてゆく。
恥骨に感じる線香の熱が、お灸のように心地良い……。
江戸の遊女の間では、このように線香を使った毛の処理がポピュラーだったという。
実際、この店にも女性の固定客がいるそうで、週にひとりは来店するとか。エステサロンに行くどの本格的な脱毛の必要はないが、少しだけ整えたいという女性の潜在的な需要は確かにあるかもしれない。
ちなみに、カットのみなら8000円だ〉