だが、問題なのは、「ヘイトスピーチ」がどういうものを指すのかということが理解されないまま使用されている現実だろう。ネット上にあふれる「安保反対派の意見はヘイトスピーチ」という意識からも、それは如実に表れている。
だからこそ、冒頭で紹介した「表現の自由は自分たちだけに適用される、と思っている人がいるようです」という声に、ここでもう一度、応えておきたい。「表現の自由のもっとも根幹にあるのは権力への批判であり、最大の権力者たる総理大臣に対して抗う言葉が守られてこそ、表現の自由は表現の自由たり得る」のだと。
立憲主義が危機に瀕するいま、この基本中の基本は、徹底されなくてはいけないだろう。
(水井多賀子)
最終更新:2015.10.04 09:45