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安倍首相に「バカ」はヘイトスピーチではない! 安保反対や政権批判をヘイト扱いし異論封殺を目論むネトウヨメディア

 そして、同誌が〈安倍総理にたいするヘイト感情がむき出しになった最大級の言葉だ〉と非難しているのは、白井の「インポ・マッチョ」発言だ。以下、白井の発言を引用しよう。

「不思議なのは、安倍首相がお父さんの晋太郎さんの話をまったくしないことです。おじいちゃんの岸信介の話ばかりする。たぶん晋三から見て、晋太郎の政治家としてのスタンスは全然男らしくないと映るんでしょう。じいちゃんは本物の男だった、それを受け継ぐんだということなのでしょう。ところが、戦に強いということを誇りにはできない、もう男になれないというのは、戦後日本の所与の条件なんですよね。軍事的にインポテンツであることを運命づけられている」
「それで、インポ・マッチョというのが一番性質が悪い。自分がインポであるというのを何がなんでも否定する。それが敗戦の否認ということの言い換えなのですが。そういう人間は首尾一貫しないことをやる」

 なかなか刺激的な論評だが、これはもちろん人格攻撃などではない。以前、本サイトでもこの発言を紹介したが、白井が問題にしているのは“マッチョなのにインポ”だという苛立ちが安倍首相はじめ日本の右派勢力の最大のモチベーションになっている、という点だ。戦争に強いという国家の誇りを取り戻したいのに、憲法によってそれができない──だからこそ彼らは憲法を攻撃するし、そこにあるのは非常にエモーショナルな動機であり、現実の政策判断とはほとんど関係がないという鋭い指摘だ。

 だが、文意を読み解く力が足りないせいか、同誌は白井発言がヘイトスピーチである理由を、このように書くのだ。

〈白井が皮肉を織り交ぜながら、安倍総理をインポという言葉を結びつけるのは、当然のことながら、安倍総理に子供がいないという事実を知ってのことである〉

 ……一体、どこをどう読んだらそんな話になるのだろうか。白井は右派勢力全体が抱えもつ“戦に勝つ=男の誇り”という価値観と、それが果たし得ない苛立ちを「軍事的にインポテンツ」と表現しただけだ。逆に、「子どもがいない=インポ」と結びつけるこの反論こそが、安倍首相を貶めているのではないだろうか。

 そもそも、この「ジャパニズム」という雑誌自体が中国や韓国に対するヘイトの塊なわけで、正しいヘイトスピーチの認識をもちあわせていないのは当然の話である。「これはヘイトスピーチだ!」とがなり立てるのなら、自分たちの雑誌を読み直してヘイトスピーチにどれだけ加担してきたかを考え直すべきだろう。

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