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特攻隊として戦地に送られた犬、毛皮のために軍に供出されるペット…あの戦争では犬や猫も悲惨な目に!

森田敏彦『犬たちも戦争にいった 戦時下大阪の軍用犬』(日本機関紙出版センター)

 戦後70年という節目を迎えて、メディアでは戦争の悲惨さや残酷さについて振り返る企画が組まれている。戦争とは、多くの人の命や尊厳を踏みにじるもの──そのことをわたしたちは忘れてはいけないが、同時に戦争は、犬や猫といった動物たちの命も奪ってきたという事実にも目を向けたい。

《勝つために犬の特別攻撃隊を作つて 敵に体當りさせて立派な 忠犬にしてやりませう》

 この文言は、「犬の献納」を呼びかける回報に書かれているものだ。特攻隊として敵に体当たりしてこそ、真の忠犬になれる……そんなまさかと思うが、そのまさか。戦時中には多くの犬が国に奪い取られ、軍人さながらに見送られて戦地に「出征」しているのだ。

『犬たちも戦争にいった 戦時下大阪の軍用犬』(森田敏彦/日本機関紙出版センター)によると、犬は第一次世界大戦時から嗅覚と聴覚を買われ、戦場で重宝されるようになった。満州事変後には関東軍が軍犬育成所を開設し、満州線路の防衛や“ゲリラ狩り”にも駆り出されている。敗戦にいたるまで〈日本本土から五万頭が、満州を含めると一〇万頭の犬が戦場に送られたと推測されている〉という。

 こうした「軍犬」の活躍は頻繁に新聞で伝えられた。それは〈勇敢な犬と、犬をかわいがるやさしい兵士〉という印象付けのほか、〈犬さえも勇敢に働くのに、ましてわれわれ人間はがんばらねばという気持ち〉にさせるためだ。だが、実際には新聞で勇ましく語られるほどの成果をあげておらず、第一軍用犬養成所の主任は、〈戦場における軍犬の使用は損害のみ多くて、あまりはなばなしいところはない〉と記している。まさに“犬死に”を強いられていたようだ。

 しかし、戦争に巻きこまれたのは、軍犬として訓練・出征させられた犬だけではない。『犬やねこが消えた 戦争で命をうばわれた動物たちの物語』(井上こみち/学研)が明らかにしている1944(昭和19)年12月15日付の軍需省から出された通達には、こう書かれている。

《軍需毛皮革ノ増産確保、狂犬病ノ根絶、空襲時ノ危害除去ヲハカルタメ、一切ノ畜犬ハ、アゲテ献納、モシクハ供出サセルコト》

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