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厚木基地騒音訴訟、自衛隊機の飛行差し止め判決で「防衛力に穴があく」「抑止力の危機」は被害妄想

TOP of 厚木航空基地公式サイトより


 今日、東京高裁で厚木基地の騒音訴訟をめぐり注目すべき判決が出た。一審・横浜地裁判決に続いて、自衛隊機の深夜と早朝(午後10時〜午前6時)の飛行差し止めと、将来の被害も含めた94億円の賠償が国に命じられたのだ。

 高裁で自衛隊機の飛行差し止め判決が出るのは初めてで、さっそく、ネトウヨや保守メディアから「住民エゴで日本の安全が損なわれる」という原告団批判、そして「深夜の緊急発進ができなくなって、日本の防衛力に穴が開く」「中国の海洋進出への監視強化が必要な時に抑止力が失われる」「緊急時の災害対応もできなくなる」といった安全保障の危機を訴える声が広がっている。

 しかし、これらの主張は防衛の現実を知らない人間の被害妄想か、防衛利権に群がるタカ派の煽りとしか思えない。

 まず、厚木基地の海自航空機の主力は哨戒機であり、潜水艦や不審船の監視にあたっているが、中国との摩擦が懸念される尖閣諸島などを担当する のは那覇基地、鹿屋基地の哨戒機で厚木基地はメインでない。また、厚木には他にも飛行試験部隊や空輸部隊がいるが、これは基本夜間は飛行しない。

 しかも、夜間に不審船情報などがあっても本格対応は翌日朝からになるためほとんど関係がない。夜間飛行差し止めで影響を受けるのは、偵察・監視等の緊急対応のケースだけだが、厚木基地ではスクランブル用はもともと1R・2R(ワンレディ・ツーレディ)の2機しかなく、判決が確定しても、この2機ぶんなら十分カバーする方法はある。

 海上自衛隊出身の軍事ライター・文谷数重氏はこう語る。

「たとえば、スクランブル用の1R・2Rを昼間、厚木基地で整備した上、夜間だけ羽田か百里におくという方法があります。長時間任務が終わり、着陸が深夜に及んだ機体の着陸も同じで、一旦、羽田か百里において、翌日、厚木に戻せばいい。
 実はこのやり方には前例があって、滑走路夜間工事で厚木が使えなくなった時期に、厚木の1R、2Rを海自下総基地(千葉県柏市)に展開しています。確か2週間ほど続けていますね」

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