よくこれで、「女性の力を引き出す」(14年衆院選時のマニフェストより)などと言えたものだと思うが、こうした主張と実態の乖離に悩み、村上元議員は離党という決断を行った。
〈結局、維新は人の気持ちがわからない組織なんじゃないか、血の通わない政治を進めていくところじゃないかと思うに至ったんです〉
そして、彼女はマタハラだけではなく、維新内にある“パワハラ体質”についても言及。“市議は2軍、府議は1軍、堺市議が3軍”という序列をつけたような呼び方から、「若い人は口を挟まず、だまって言われたことをやってろ」というような期数上位の議員の態度を告発している。もちろん、このような体質の元凶となっているのは、橋下徹という存在だ。
〈維新の中では橋下市長を社長と呼びます。いろんな議案の話をしていても、社長がやりたい言うてるから、社長がこうや言うてるからと、そればっかり。それはおかしい、違いますと言ってもスルーされてしまう。結局、維新の議員は起立要員でしかないんです。議決に賛成して起立だけすればいい人なんです〉
この指摘は、いまの安保法制をめぐる大阪系議員たちの態度とも重なるものだ。橋下が自民に接近すれば、大阪系議員は野党共闘で動いていた非大阪系執行部の運営に反発、自民党への協力に動き出した。橋下が右と言えば右を向き、左と言えば左を向く。意志のない“駒”の状態だ。
維新を去った村上元議員は、橋下について〈この人は政治家ではなくて、社会扇動家なんだなと思った〉と感想を述べているが、いま、日本の未来が彼の一存にかかっていることを考えると、あらためてぞっとさせられる。
(水井多賀子)
最終更新:2015.07.01 07:27