『たった一人の熱狂 仕事と人生に効く51の言葉』(見城徹/双葉社)
批判を集めている神戸連続児童連続殺傷事件の元少年Aの『絶歌 神戸連続児童殺傷事件』(太田出版)。その矛先は、元少年Aだけでなく、版元の太田出版にも及び、ネットにはこんな声があふれた。
「こんな出版社潰せよ、犯罪幇助だろ」「出版したやつら全員地獄に堕ちる」「太田出版は許さん!」「太田出版不買運動」
こうした事態に6月17日には同社の岡聡社長が「釈明文」を発表する事態にまで至ったほどだ。
しかし、実はこの騒動には、出版の本当の仕掛人でありながら、太田出版に押しつけ、まんまと逃げ切ったご仁がいる。それが幻冬舎の見城徹社長だ。
「実は『絶歌』は、太田出版ではなく幻冬舎から出版される予定だったのです。
それを幻冬舎の見城社長が途中で出版を降り、太田出版に紹介したということのようです」(出版関係者)
最初の経緯ははっきりしないが、幻冬舎は数年ほど前、少年Aとコンタクトをとり、それ以降、出版に向けてプロジェクトチームを組んで原稿を完成させていた。
実際、今年になり「週刊新潮」がこの動きをキャッチ。「『少年A』の手記出版を企図した『幻冬舎』への風当たり」(1月29日号)として記事にしている。
この際、幻冬舎総務局は「週刊新潮」の取材に対し、「出版の予定はなく、元少年やその関係者に接触したこともありません」と回答。また、見城社長本人も「万万が一、予定があったとして、出したらいけないの?」と否定、「大体、手記を出したところで、売れないって」などと語っている。
しかし、幻冬舎や見城社長がどう否定しようが、実際「元少年A」の手記は幻冬舎でつくり、その後に、見城社長が太田出版にもちこんだもののようだ。この経緯に詳しい出版関係者がこう証言する。
「幻冬舎で「元少年A」の手記出版に向け動いていたのは間違いない。見城社長直々でね。見城は「元少年A」と何度も会い話をしながら原稿の手直しも進めていた。その上、経済的に困窮していた「元少年A」に印税の前払いとして百万単位の金を渡していたらしいです」