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「ヘイト」を追及し続けるジャーナリスト・安田浩一インタビュー(後)

ネトウヨを生み出したのはメディアだ! ニコ動は差別に加担したことのケジメをつけろ

ジャーナリスト・安田浩一氏

──自分自身、ヘイトスピーチの現場を取材していてもほとんどのWebメディアは来ないなと感じています。プロレス型消費にしても両論併記問題にしても、自らの目で差別の現実を確かめようとしないことが背景にあるんじゃないかと思うんですよね。

安田 YouTubeとかニコ動もそうだけど、ヘイトスピーチやそれ以外の問題について、問題の表層だけ拾い上げて語ろうとする。被害を生み続ける差別や偏見の恐ろしさだったり、肌にヒリヒリ突き刺さるような現場感というものがそこからはまったく見えません。それがやっぱり僕は怖いと思うんですね。いわば戦争動画を作っているような感覚にも近いのかもしれない。表層的な部分だけ拾い上げてイージーな記事作りをしてるなという気はします。
 ただ「だからWebメディアはダメなんだ」と、本当は決めつけたくない。現場で起こっていることをリアルタイムで報じたりする力はあるはずなんだから、やっぱりそこに期待したいんですよね。
 じゃあなぜ現場に出てこないのか。簡単ですよ。金がないからです。差別の現場ってなにも東京だけじゃなくて、大阪だったり九州だったり沖縄でも起きている。そういうとき、Webメディアが現場を拾い上げて取材ができないのは「Webだから」じゃない。取材に必要なお金がないからなんですよね。
 もしWebメディアにお金が集まる収益システムができていれば、別に紙であろうがWebであろうが書く行為自体に変わりはなくて、同じ取材ができるんですよね。だから僕はできれば「Webメディアはダメだ」という決めつけはしたくありません。
 Web編集者と話していると、やっぱりPVを意識する人が非常に多いです。もちろん、出版社だって本の売れ行きだったり、記事がどれだけ多くの人に読んでもらえたのかは気にします。でもWeb編集者は、それとステージが違うところでPVに一喜一憂している気がします。そうすると「どのくらい見てもらえたのか」「誰がどれくらいクリックしてくれたのか」の競争になってくる。Webで育ってきた人と報道機関とか出版社で育ってきた人は、やっぱり違うのかなと感じないでもないです。

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