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売春、シニア婚活パーティ、ストーカー…年老いても“性”に振り回される高齢者の悲哀

『老人たちの裏社会』(宝島社)

 65歳以上の高齢者の人口増加が止まらない。2013年には団塊世代の中心である昭和23年生まれが高齢者の仲間入りをし、日本の4人に1人が高齢者、という老人大国になった。また、昨年7月に厚生労働省が発表した2013年における日本の平均寿命は、男性が80.21歳、女性が86.61歳と、初めて男性が80歳越えをした。  現代日本では高齢者の仲間入りをしてからも人生はまだまだ続くのだ。そんな高齢者たちの、あまり報道されない裏の部分を取材したのが『老人たちの裏社会』(新郷由起/宝島社)だ。  万引き常習、DV、暴行事件、孤立死……。さらに、同書には、老いてもなお衰えることのない性欲を持て余す高齢者たちの姿も描かれている。たとえば、それが現れているのが、婚活パーティ。パートナーに先立たれた高齢者が低予算で気軽に異性と出会えるパーティは自治体や民間が主催して各地で開催されているが、セックス目的の参加も少なくないらしい。

 とくに男性はその傾向が強く、作者が潜入したシニア婚活パーティは、女性は50代半ばから60代が中心、男性陣で60〜70代だったが、「夫婦生活は極めて重要」と話す男性が非常に多かったという。一方、女性の側は「60過ぎたらアッチの方は考えないわよ」という意見も多く、すれ違いが生じているケースも少なくないらしい。参加者の中にはこんな体験談を語る女性たちもいたという。 「二度目の食事の後で『二人だけになれる所へ行きましょう』と誘われたけど、『もう少し飲んでいたい』とやんわり断ったら、サッサとお勘定して出て行っちゃってそれっきり。結局、男はいくつになってもカラダ目当てなのかしら」(64歳女性)  もっとも、女性のなかにも年老いてセックスの歓びに目覚めたケースはある。本書には62歳でホテヘル嬢デビューを果たした女性も登場する。小柄で細身の小池美幸さん(63・仮名)。15年近くセックスレスの夫は、近年、病が進行し、下半身が不自由に。そんなある日、ふと手に取った女性誌のセックス特集を読んで、カーッと体が火照り出した。 「ものすごく久しぶりの感覚で、自慰までしてしまった。我に返ってから『このまま、主人しか知らずに女の人生を終わりたくない!』との気持ちがお腹の底から湧いてきたんです」(美幸さん)  その勢いに任せ、広告ページに載っていた風俗店に電話をかけて、初勤務へと至る。温和な上得意客に当たり、不安も吹っ切れた。最近は週に1〜2回、夫のデイサービス利用の合間に「女を取り戻している」そうだ。

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