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「大阪都構想」住民投票直前 特別企画

橋下徹の大阪都構想に106人の専門家が反対の声をあげた!「催眠商法」「まやかし」との批判も

 しかし、大阪市をはじめ府下の市町の自治を奪うことになる「都構想」には当然反発が強く、橋下が大阪市長に就いた後も迷走した。13年9月の堺市長選では維新の候補が惨敗。やはり長い自治の歴史をもつ政令指定都市である堺市民が、橋下言うところの「都」に組み入れられることを拒否した結果で、これによって、府下の市町をまとめて再編する目論見だった「都構想」は一転、単なる「大阪市廃止分割構想」へと大幅にスケールダウンした。

 大阪市議会でも維新以外の会派から反対・異論が続出。特別区設置協定書の内容を詰める法定協議会も紛糾つづきで、苛立った橋下は14年3月、「法定協のメンバーを入れ替えるため」と出直し選挙を仕掛ける。再選で「民意を得た」と言うためだったが、他会派はまったく相手にせず、6億円の選挙費用を浪費しただけの空騒ぎに終わる。ついには法定協から他会派を締め出し、維新の議員だけで協定書を決定したものの、14年10月の府・市両議会であえなく否決。ようやく葬り去られたかに見えた。

 それが14年暮れになって突然復活する。公明党が住民投票賛成に転じたためだ。大阪維新の会幹事長であり、橋下の右腕でもある松井一郎府知事が旧知の菅義偉官房長官に働きかけ、創価学会幹部や山口那津男公明党代表を動かしたと言われている。大阪の公明市議らは「協定書には反対だが、住民投票には賛成」という苦しい立場を強いられ、構想への批判も抑制するよう言い含められているという。報道各社による住民投票の事前アンケートでは賛否が拮抗し、公明票の行方が結果を左右すると見られている。

 以上、駆け足で経緯を振り返ってみるだけでも、「大阪都構想」なるものが橋下の思いつきと官邸との談合でごり押しされたかなりいい加減なものであることがよくわかるだろう。そもそも「都構想」という呼び方すらウソである。住民投票で賛成多数になっても、府は府のままで「都」にはならない。名称変更には、特別法を成立させたうえで府民の住民投票にかけるか、地方自治法を改正するか、いずれにせよ国会というハードルがある。現状では、ただ市だけが廃止され、権限も財源も不十分な5つの特別区に分割されるだけなのだ。

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