菅官房長官による“圧力”については本サイトでも再三取り上げている。テレビ局などメディア周辺をちょっと取材すれば簡単に取れるファクトである。ところが、5ページにおよぶこの「週刊文春」の記事には“官邸の圧力”については1行も出ていない。それどころか、〈菅官房長官は三十日の記者会見で、「事実に反するコメントだ。公共の電波を使った行為であり、極めて不適切。(政治的に公平、事実をねじ曲げない、などを定めた)放送法があるので、テレビ局がどう対応されるか見守りたい」と痛烈批判〉などと、菅氏の主張を垂れ流す始末だ。政権の中枢にある人間が「放送法」を口にしたとたん、それは免許取り消しを示唆した露骨な恫喝と受け取られるが、そんなことへの言及も一切なしだ。
そして、“降板”のいきさつや“圧力”については古賀氏の「被害妄想」とまで切って捨て、あとはひたすら古賀氏の人格攻撃をするばかりだった。
こんどは「週刊文春」の関係者が言う。
「現場の記者がいちばん頭を抱えていたが、古賀さんと更迭された女性プロデューサーがデキているという“情報”でした。出所はこれまた官邸らしいのですが、とにかく確度の高い情報だから裏を取れと、『上』からしつこく言われたそうです。ところが、いくら取材しても証言のカケラすら出てこない。せいぜい、古賀さんがアフリカに取材に行ったときに同行したということくらい。でも、そんなこと普通にあることでしょう……」
そこまでやるのか、と唖然とさせられるようなやり口だが、さらにここにきて出てきたのが、冒頭で紹介した翁長知事へのバッシング特集だったというわけだ。しかも、「文春」はこの翁長ネガティブキャンペーンをしばらく続けるつもりらしい。
天下の「文春」は官邸の謀略機関に成り下がったのだろうか。
(田部祥太)
最終更新:2017.12.23 07:05