「放送法」はあくまで大マスコミと官僚にだけ関係するお話、一般市民に言われてもピンと来ない──そう考える読者がいたとしても無理はない(筆者も最近までその一人だった)。しかし、ここまでの状況を知るとそうも気楽なことは言っていられない。市民にもできることはあるのか、最後に山田教授へ訊ねてみた。
「例えば、放送局の番組に対していい番組だったら褒める、悪い番組だったら叱るということ。それを国ではなくて僕らがしていくことが重要です。番組の良し悪しを判断するのは国じゃなく僕ら。公的な権力者が個別の番組や人事に口を出すのは『よくないこと』だと知っておく必要がある。そうしたときには、放送局同様、国に対しても僕らは怒らないといけない」
「中立・公正」というタテマエの裏側で、得をするのは一体誰なのか? とりわけ権力を持つ人間がこうした言葉を金科玉条のごとく振りかざすときには、まずそう疑ってかかりたい。そうした監視の目が、健全なメディアの姿を取り戻す第一歩になるはずだ。
(松岡瑛理)
最終更新:2017.12.23 07:02