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【特別企画】3・11を風化させるな! 被災地で原発で何が起きているのか

福島原発事故は今も謎だらけ!“東日本壊滅”が避けられたのもただの偶然だった…

「2号機のSR弁が開かず、全く水が注げないままメルトダウン、そして格納容器破壊のシナリオになってしまった場合、1号機と3号機に水が注げなくなってしまい、さらに使用済燃料プールへの対策が滞ってしまうことだった。まさに福島第一原発の最悪のシナリオだ。そしてそこから放出された放射性物質の影響で南におよそ10キロの所にある福島第二原発もオペレーション不能になれば、それこそ東日本全体が放射能に覆われてしまう」(同書より) 

 この最悪のシナリオが現実に迫ってくる。そのため、吉田所長の調書には「東日本壊滅」「死」との言葉が出てくるのだ。

 実際、2号機は最後まで原子炉格納容器の中の圧力を下げる緊急措置であるベントができず、危機は広がっていった。

「その結果、圧力に耐えきれなくなった格納容器の配管のつなぎ目が壊れたり、蓋の部分に隙間ができたりして、断続的に放射性物質が漏れ出したのではないかと見られている」

 こうして14日深夜、2号機から放射性物質が大量放出されたと“推測”され、東京の渋谷でも通常の2倍もの放射線量を記録した。だが、ベントができなかった“謎”について、実は現在でも解明されていないという。

「高い放射線量に阻まれ、現場の配管を十分に調査することができないため、事故から3年半以上経った今も謎のままである」

 さらに大きな謎がある。放射性物質を大量放出した2号機だったが、吉田所長が恐れた東日本壊滅という事態には至らなかったことだ。

「結果的には幸運にも吉田所長が恐れたように、原子炉の核燃料全体が一気に放出されるまでには至らなかった。2号機の格納容器の封じ込め機能は、東日本壊滅をもたらすほど決定的には壊れなかったのである」

 2号機の格納容器の破損は部分的なものだった。そのため放射性物質漏洩は部分的なものとなった。しかし、その理由も恐るべきものだ。なぜ、決定的に壊れなかったかについて「いまだによくわかっていない」というのだから──。

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