月刊誌「WiLL」(ワック)
「本のタイトルだけで“ヘイト本”と批判するなよ! ヘイトスピーチじゃないか!」
「WiLL」(ワック)編集長・花田紀凱氏が逆ギレして、こう吠えたのは、2月9日、東京・新宿ロフトプラスワンで行われた「『WiLL v.s. NOヘイト!』〜出版業界と『ヘイト本』ブーム〜」でのことだった。
このイベントは「嫌韓」「反中」を掲げ“人種差別を助長する”ヘイト本が書店を埋め尽くしている出版業界の状況を見て、パブリッシャーや文筆家たちが議論するという趣旨で開かれたのだが、そこに中国や韓国へのヘイト記事やヘイト本を連発している花田編集長がパネラーとして参加したのである。
開催の契機となったのは、先日本サイトでも紹介した『NOヘイト! 出版の製造者責任を考える』(ヘイトスピーチと排外主義に加担しない出版関係者の会/ころから)という一冊の本だった。本書はその題名のとおり、業界内部から“ヘイト本問題”に切り込んだものなのだが、出版の約1ヶ月後、「WiLL」の出版元であるワック側から「当社が出している数点の書籍が“ヘイト本”と書かれていることに違和感を覚える」という旨のメールが届いたのだという。
そこで「WiLL」編集長の花田氏を交え、公開の場で議論する運びとなったわけだが、開催にあたってはちょっとした悶着があったようだ。
当初主催者側から発表されていたのは、本サイトでも連載を持つ対レイシスト行動集団「C.R.A.C.」の野間易通氏と花田氏の「直接対決!」というフレコミだった。だが、花田氏は開催数日前に野間氏との「対決」を拒否し、結局、イベントは二部構成に変更。花田氏は第一部で、ヘイト本出版に批判的な活動をしている「ころから」代表・木瀬貴吉氏と一対一で議論し、野間氏は第二部で保守系評論家・古谷経衡氏と対談する、ということに落ち着いた。
なんとなく敵前逃亡という感じもしなくもないが、そこは雑誌業界の重鎮らしく、第一部では持論をまくしたてていた。たとえば、『NO!ヘイト』のなかで、『中国を永久に黙らせる100問100答』(渡部昇一/ワック)のタイトルが「ジェノサイドへの欲望が読み取れる」「誰かを『永久に黙らせる』のに一番よい方法は何か。ちょっと考えたら分かりますよね」と指摘されたことに対し、花田氏はこう噛み付いたのだ。
花田「これは、ようするに“反論できないようにする”“論破する”という意味。それをね、『ジェノサイド』とか言われたらたまったもんじゃないよ」
木瀬「だったら『永久に』という言葉は必要ないですよね? 『韓国・北朝鮮を永久に黙らせる100問100答』という本もワックから出されています」
花田「いやいや、これを韓国人とか中国人を『殺す』って読みとるほうがおかしいでしょ!?」
木瀬「では『日本を永久に黙らせる〜』というタイトルの本があったとしても、同じことが言えますか?」
花田「黙らないよ、こっちは(笑) 反論すればいいわけでしょ。そもそも『殺す』なんて思う奴なんていないよ! ちょっとおかしいんじゃない!?」
「永久に黙らせる〜」という言葉はギャング映画やサスペンス小説などで「殺す」という意味に使われる表現で、それ以外の使われ方はほとんどないと思うのだが、花田氏はあくまで「反論できないようにする」という意味だと言いはる。
花田「『殺せ!』と主張していると思う人なんていないです! いたとしてもごく少数だよ!」
木瀬「少数ならいいんですか?」
花田「少数ならいたってしょうがないよ」