「山谷氏が委員長になってからというもの、公安はやり口が露骨になってますからね。何をやるかわからない。新左翼過激派にやっているような、ホテルを偽名で泊まった、免許証の住所変更をしなかった、などの微罪逮捕もありうるし、中田さんや常岡さんなど、イスラム国とパイプがある人物だけでなく、この問題で政府に批判的な専門家を片っ端から洗っているという話もあります」(前出・公安担当記者)
だが、こうした政府の人質見殺し、そして卑劣な批判封じを追及する動きはまったくない。ほとんどの大手メディアが政府に睨まれるのを恐れ、人質事件における政府の対応についての検証を放棄。そして、『報道ステーション』(テレビ朝日系)や今回の『報道特集』など、真っ当に安倍政権の対応を検証しようとした番組に対しては、政府と連動するようにネットからヒステリックな批判の声があがっている。
たとえば、『報道特集』はこの中田氏の証言にかぎらず、1月28日にアメリカからヨルダン政府に圧力が加わり後藤さんの解放を阻んでしまったことや、かつてイスラム国に拘束されたスペイン人の人質解放に成功したヨルダン人弁護士が協力を申し出たものの、日本政府からはなしのつぶてだったことなど、かなり踏み込んだ検証を行った。
が、ネットの反応は逆。同番組への「偏向報道」の大合唱が起き、こんな書き込みであふれている。
「反日TBSの報道特集が報ステ超えしたぞ!」「なんだ?この放送局は?ISの犬畜生じゃないの」「テロリスト批判は無く、“日本の過ち”と日本が諸悪の根源の様な口振りの報道特集」
このままヒステリーが広がっていけば、公安による不当な逮捕劇が行われても、それに対する批判は「イスラム国のスパイを許すな!」という大合唱にかき消されてしまうだろう。そして、「テロとの闘い」を名目に安倍政権の言論取り締まりはどんどん強化されていく。オーバーではなく、言論統制国家はすぐその先にあるといっていい。
(田部祥太)
【検証!イスラム国人質事件シリーズはこちらから→(リンク)】
最終更新:2017.12.13 09:19