『実録・自衛隊パイロットたちが目撃したUFO』(講談社)
UFO(未確認飛行物体)に関し、注目すべき著書が出版された。タイトルは、『実録・自衛隊パイロットたちが目撃したUFO』(佐藤守/講談社)だ。
UFOについては、これまでにも多くの書籍が出版されてきた。だが、残念ながらその多くは何の科学的検証もない“オカルト本”だった。しかし今回はちょっと違う。なにしろ著書は、防衛大学から航空自衛隊のパイロットとなり、F86、F4、F16など多くの戦闘機に乗機し、3万8000時間もの飛行経験をもつベテランであり、また諜報活動にも従事した経験がある元自衛隊の空将なのだ。
そんな “空のプロ”ともいえる著者が自らの体験だけでなく、14人もの先輩・後輩、つまり自衛隊のプロのパイロットたちから「UFO目撃談」を聞き取り、それを検証したのが本書である。数多くのプロパイロットたちからの証言――。信憑性も高そうだし、その検証にも大いに期待がもてそうだ。早速、彼らの証言の数々を紹介しよう。
まずは昭和40年代、F86-FパイロットだったU二佐の体験談だ。
「彼は東北のある基地に勤務していたとき、日中訓練で、はるか上空に星よりも明るく輝いている物体に遭遇しました。高度は不明でしたが、地上レーダーに確認してもらっても映っていないらしく、『レーダー情報はなし』とのこと」
U二佐はこれとは逆にレーダーに映っている物体を発見出来なかったこともあるという。それは飛行訓練中に高速接近してくる目標があるとレーダー情報を得て、懸命に探したときのことだ。
「しかし、目視発見できず、そのまま直進すれば正面衝突する危険性があると感じたので、一マイル(この本での「マイル」は「ノーティカルマイル(=海里)」で、一マイル=一・八五二キロ)に接近した時点で回避操作をしたところ、直後に正体不明の物体が通りすぎた…」
U二佐は匿名だが、それは自衛隊内部でUFOの話はタブー扱いだからだ。
「UFOを目撃したなどと報告しようものなら、『貴様、頭でもおかしくなったのか』と一蹴され、過去には正直に報告したがため、辛い目にあった後輩もいます」
だが、OBの中には実名で証言するパイロットもいる。それが元海自パイロットの川村純彦元海将補だ。
「(一九八六年頃)伊豆諸島八丈島の南方洋上を下総基地に戻るため、高度約八〇〇〇フィート(約二四〇〇メートル)の雲のなかを、速度一九〇ノットで北上中、クルーのレーダーマンが『前方にボギー(正体不明機)』と報告してきましたが、雲のなかですから見えません。(略)衝突を回避するために左へ急変針しましたが、何も見えませんでしたし、何の変化もありませんでした」