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STAP細胞はやっぱりなかった! 小保方晴子氏を踊らせたのは誰なのか

 本書が厳しく突くのは、小保方や笹井だけではない。ノーベル賞受賞者で理化学研究所を「成果第一主義」で運営してきた理事長・野依良治にも容赦ない。

 著者が「小保方の成果を受け、下村文科相は、1月31日、法人創設(特定独立国立研究開発法人)の方針を表明した。この制度がスタートすると、年俸1億円の研究者も誕生する。非情な野依の、してやったりの高笑いが聞こえるようだ」と書いたように、誰も逆らうことの出来ない“ミスター・ノーベル賞”は、捏造発覚後はたちまち保身に走った。誰よりも真っ先に野依が引責辞任すべきであった、「驚くべき老醜と言ってよいぶざまな姿だった」と指摘する。

 野依と同じく保身に走ったのが、小保方や笹井の上長であるCDBセンター長だった竹市雅俊。理研の改革を提言する改革委員会が竹市に話を聞くと「管理はやっていませんでした」と平然と述べ、委員の弁護士は腰を抜かすほど驚いたという。笹井の自殺に際しても「もう少し我慢してくれれば」と的外れなフォロー。野依や竹市が自分たちのポジションを守り抜くことで、理研の体質は依然と保持され、シッポ切りされた当人だけがマスコミの餌食となった。

 言うまでもなく、STAP細胞騒動は、小保方晴子の単独行動ではない。小保方の“単独犯”に仕立てることで守られた人・組織・国策がいくらでも存在していた。彼女にだけ降り注いだ大量のフラッシュの背後で、小保方を人身御供に使い、難を逃れて安堵した連中がわんさかいたのである。
(武田砂鉄)

最終更新:2014.12.19 12:46

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