実際、花田編集長のこうした姿勢は自らの雑誌づくりでも垣間見えていた。そのひとつが編集長を務めている「WiLL」と原発の関係だ。
先の福島原発事故が起きるまで、実は「WiLL」には毎号のように電力会社の広告が掲載されていた。また、「WiLL」の発行元である株式会社ワックの子会社ウィルアライアンスでは東京電力の広報物や展示製作を請け負っていた。
原発事故のさなか、東京電力が勝俣恒久会長(当時)を団長とする「愛華訪中団」というマスコミ接待中国ツアーを行っていた事が発覚したが、このツアーには過去、花田編集長自身が参加していた。
そして、こうした電力会社の利益供与に応えるように「WiLL」は露骨なまでの原発擁護の編集方針を打ち出していた。花田編集長自らが原発施設見学記を書くなど、原発がいかに安全かというPR記事を頻繁に掲載。逆に原発反対勢力を攻撃することもあった。
福島原発事故が起きて、ほとんどのメディアが東電批判を展開するようになった後も、「WiLL」は申し訳程度に検証記事を1~2回掲載しただけ。本格的な東電批判は一切やろうとしなかった。
花田氏にしてみたら、これも「プラス、マイナスを総合的に判断した上で」のことなのだろう。
しかし、だからといって、こんなふうに開き直られたら、それこそ今、「WILL」が毎号のように大声でがなりたてている朝日新聞批判や侵略戦争・従軍慰安婦否定、嫌韓反中記事なども結局、花田氏にとっては「商売」でしかないのではないか、という疑念がわいてくる。
いや、待てよ。もしかしたら、今回の百田擁護、林批判も、頻繁に自分の雑誌に寄稿してくれる飛ぶ鳥を落とす勢いのお友達・百田にくっついた方がずっと得、という商売上の判断なのか。
いずれにしても、「WiLL」に載っている“憂国の主張”にはあまりまともにとりあわない方がよさそうだ。
(伊勢崎馨)
【リテラが追う!百田尚樹『殉愛』騒動シリーズはこちらから→(リンク)】
最終更新:2014.12.17 07:14