月刊誌「WiLL」(ワック)
「週刊新潮」「週刊文春」に続いて「FRIDAY」……本サイトが予告したとおり、週刊誌が一斉に百田尚樹氏の『殉愛』とさくら夫人の擁護キャンペーンを展開している。
だが、どれも羊頭狗肉な代物でまともな反論にさえなっていない。そう考えると、「週刊文春」(12月11日号/文藝春秋)連載で林真理子氏が週刊誌のことを「ジャーナリズムなんて名乗らない方がいい」「誰が朝日新聞のことを叩けるのであろうか」と痛烈に批判した“まっとうさ”が際だつばかりだ。
ところが、そんな林氏のコラムにいちゃもんを付ける出版人が登場した。元「週刊文春」の名物編集長で、今は百田センセイが頻繁に登場する極右雑誌「WiLL」(ワック)の編集長をつとめる花田紀凱氏だ。
「林真理子さんのコラムに異議あり」
12月10日、こんなタイトルの記事が「花田紀凱WiLL編集長のメディアあら探しメディアうらばなし」というブログにアップされた。
「林真理子さんには『週刊文春』編集長時代からお世話になってきたから、こんなことは書きたくないのだが、今回ばかりは書かずにはいられない」
花田氏のブログ記事は林のコラムの書き出しを当てこするようなこんな記述で始まる、そして、「林さんは、実の娘が今回、出版差し止めの提訴をしたことを週刊誌もワイドショーもどこも取り上げないことがいたく御不満らしい」と皮肉たっぷりに紹介したうえでこう書くのだ。
「しかし、だ。林さんがこのコラムでも書いているように『週刊文春』では近く百田さんの連載が始まるし、『週刊新潮』は連載が終わって新潮社から本が出たばかりだ。『週刊現代』は発行元の講談社から大ベストセラー『海賊とよばれた男』を出している。」
「プラス、マイナスを総合的に判断した上で、書かないのは当然ではないか。わかりきった話だ」
なんと、百田が生み出す利益を考えたら、批判を書かないのは当たり前だと言うのだ。そして「林さん、あなたはいつからそんなに偉くなったのか」と説教するのである。
断っておくが、今回の問題は百田尚樹という作家による言論封殺事件であり、週刊誌ジャーナリズムの沽券にかかわる問題だ。ところが、元「週刊文春」編集長の花田サンの頭の中は商売優先。週刊誌が報道や言論の一翼を担っているという意識はほとんどないらしい。