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デーブ監督ごり押しも納得?楽天・三木谷社長は昭和の体育会系経営者だった

 たとえば、行動指針「楽天主義」。楽天の「ビジネスの土台」ともいえるもので、その「楽天主義」の「行動規範8カ条」には毎週、社長も含めた全社員による各自の職場清掃がある。

「生半可な掃除ではない。『とことん』掃除しなければならないのだ。デスクの下を掃除し、椅子の脚まで磨く。なぜそこまでするのか?それは清掃によって職場環境をきれいに保つことが、僕らの会社と自分の職場に対する愛情を表現する行為だからだ。(略)実際、世界広しといえども、毎週自分のオフィスの椅子を磨いているCEOは僕くらいだと思う。しかし、僕らは今後もこの風変わりな、それでいて愛おしい儀式をつづけていくつもりだ」

 どこかの中小零細企業のオヤジ社長が話す若手社員の「しつけ」の成功事例のようだが、この昭和的な「掃除」と毎週の「朝会」は欠かさないのだという。

「毎週火曜日の朝、楽天の世界中の社員が参加する情報共有ミーティングのことで、約5000人の社員が本社では参加している。メイン会場には、モニターが設置され、地方や海外拠点の社員たちもビデオ会議システムを通じて参加する。(略)朝会には全員が参加しなければならず、参加すれば発表者の発言に耳を傾けざるをえないだろう。僕は今のところ、ライブで行う週1度の朝会に匹敵するほどのインパクトがある技術に出会ったことがない」

 あまりにもアナログな「朝会」賛美だ。しかも、『楽天流』のなかで、「朝会」優先するあまりのトホホなエピソードも披露している。日ごろから無駄探しをしているという三木谷氏だが、楽天の本社を六本木から品川シーサイドに移転した際、とある非効率に気がついたのだという。

「社員が全員朝会に参加するため、(略)数千人の社員がロビーのエレベーターに詰めかけ、なんとか朝会の開始に間に合おうと必死になる。しかし、エレベーターが上に行くにも下に行くにも各階に停まっていると、少しずつ時間が失われていく。各駅停車の電車に乗っているようなものだ。いらだった社員は、肘でほかの者を押しのけながらエレベーターに乗り込み、また降りていく。その日、本社で朝会に出席していたすべての社員が会場に着席するまでなんと30分を要した。
 この事態を目の当たりにして僕は愕然とした。社員1人が30分の時間を浪費すれば、会社全体としてその日、1500時間の労働時間を失うことは簡単な計算でわかる。スピード重視を目標に掲げている僕らが、朝30分もエレベーター待ちに費やしている事実を見過ごしていいわけがない」

 そもそも、「スピード」とともに「仮説→実行→検証→仕組化」をコンセプトに持つ企業の引越しで、社員によるエレベーター渋滞が発生するという仮説の設定ができなかったところに社員軽視の姿勢がうかがえるが、こうした朝会前のエレベータ渋滞を前に、「常に改善、常に前進」というコンセプトも持つ企業なだけに、あまりにも非効率な「朝会」じたいをなくす決断をするかと思いきや、違った。

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