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読売の朝日誤報追及は拡販のため?販売店に朝日の読者を奪えと攻撃指令

 さらに、読売は朝日潰しのために、もうひとつの「誤報」を追及し始めた。8月30日、一面で、福島第一原発の吉田昌郎所長の「吉田調書」の内容が、事故当時、職員が「待機命令に違反して退避」したとする朝日の報道とはちがっていたと大々的に報道したのだ。

「朝日の記事にフレームアップがあるのは、吉田所長の本を書いた門田隆将や産經新聞がすでに指摘していた。ところが、上層部からうちでも大々的に追及するよう指令が下ったんです。ようするに従軍慰安婦問題に続いて第二弾で畳みかけ、さらに読者離れを加速させようと言う作戦です。民主党と朝日を叩きたい官邸とも利害が合致して、ああいう記事になったということでしょう」(同)

 実際、従軍慰安婦の件とはちがって、吉田調書に関する朝日の報道はフレームアップではあるが、誤報とはいいがたいものだった。しかも、産経の後追い。少なくとも一面を使って大々的に報道するような話題ではなく、「なんで今さら?」と首をかしげた業界関係者も少なくなかった。むしろ、吉田調書で、誤報が明らかになったのは読売の「菅直人元首相の海水注入」報道のほうだった。

 にもかかわらず、無理矢理こんな大キャンペーンを展開すあのはやはり、商売上、朝日をどうしても追い落としたいという意志によるものだったらしい。

「とにかく、今の読売は朝日潰しのためには手段を選ばないという感じだね。吉田調書の誤報についても拡販ツールにする計画を進めているし、朝日叩きをして、朝日から広告拒否された『週刊文春』などの週刊誌に同じ料金で大きいスペースを提供したという話もある。さらに近々もうひとつ朝日スキャンダルを用意しているという噂も流れているね」(別の新聞社幹部)

 読売新聞の販売部数は、昨年11月時点で1000万7440部だったのに対し、今年6月には927万9755部に落ち込んだ(日本ABC協会調べ)。前出の読売関係者によると、読売にとって“1000万部回復”は至上命題で、部数減の穴埋めとして朝日の購読シェアを奪う戦略が練られたようだ。

「日本人の誇りを傷つけた」だの「報道機関の信頼を失わせた」だのといった御託が並べられた朝日の誤報問題も、一皮向けば、“オワコン”新聞の縮小するパイの分捕り合戦にすぎなかったということなのだろうか。しかし、その結果、国民が原発事故の本質から目をそらされてしまったとしたら、あまりに救いのない話である。
 (田部祥太)

最終更新:2015.01.19 06:09

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