もちろん、公表前の事前の原稿チェックはマスコミにとっては“報道の自由”を放棄するに等しい行為。当初は、ディズニーの姿勢に反発するマスコミもあったが、「原稿を見せてくだされば、代わりに、ディズニーで用意した、とっておきの情報や写真を提供しますよ、という提案をしたこともありました。ただ、押し付けるばかりではなく、お互いにプラスになることを意識するようにしていった」(同書より)
「こうした取り組みを進めていたことで、『東京ディズニーランドの取材とはこういうものだ』『事前に申請をしなければならないのだ』ということが次第にマスコミにも理解してもらえ、浸透するようになっていきました。これが、ブランドのコントロールに大きな役割を果たしたことは、言うまでもありません」(同書より)
大量の広告キャンペーンに、子どもに喜ばれる限定グッズのお土産をもらってディズニー接待漬けのマスコミ……これでは、ディズニーランドの悲惨な労働実態を告発する従業員がいくら出てきても、それを取材・公表しようというマスコミがいないのは当然かもしれない。
今日から9月。マスコミはこの秋もディズニーの「ブラック」な本質を追及する姿勢などおくびにも出さず、「ハロウィン」キャンペーンの宣伝役を担ぎ続けるのだろうか。
(松井克明)
最終更新:2014.11.17 12:11