さらに男に結婚を意識させる会話、行動術も紹介される。
・ウインドウショッピングだけといいながら、目を限界まで見開いて婚約指輪を凝視する。
・「今日のあなたの格好、すごいセクシー」と褒めてから「セクシーっていうか、ゼクシィだよね」と結婚雑誌の名前を出す。
・歩き疲れて休む時、「じゃあちょっと区役所寄ってく?」と言う。
・居酒屋で左手の薬指にチクワをはめる遊びをねだる。
・カラオケで「バタフライ」「家族になろうよ」「てんとう虫のサンバ」以外歌わない。
絶句である。これって全て男が“ひく”オンパレードとしか思えないが、しかしこれが水野の言う婚活術であり「男の理想・本音」らしい。
いや、それはあくまで男の一般的本音などではなく“水野”の本音かもしれない。というのも、スパルタ婚活を延々と提唱する水野は、本書の最後になってこんな“告白”をしているのだ。
「僕は中学高校時代、女に全く縁のない時間を過ごしてきた」
その理由は“醜形恐怖”で、美容整形まで考え、心療内科にも通ったらしい。そして大学に入り、初めて告白してフラれるも、その後は意識を変え「女の子との出会い」に勤しむようになる。合コンをすればその日のうちに自分の会話を全部大学ノートに書き出し、自己反省して泣く日々──。
こうして“お勉強”して培った壮大なモテ妄想を作家となった今、本にしたためそれを女たちに教授する。まるでモテなかった過去の自分と、自分に振り向かなかった女たちへのリベンジ本なのだ。
とはいえ、ほとんどの婚活・恋愛本は妄想と幻想の世界。婚活マニュアル本なんか頼りにしないほうが、かえって婚活もうまくいくかもしれない。
加えて水野敬也の場合、DVD『温厚な上司の怒らせ方』などパロディ的な著作もあったり、ヒットした『ウケる技術』や『LOVE理論』にしても、本気なのかギャグなのか判別しづらいところがある。鵜呑みにしてそのままやって、赤っ恥をかかないようにご用心を。
(林グンマ)
最終更新:2014.09.16 07:37