次は「おさわり」術。これも「男の膝に手を置く」なんていうベタなことは絶対してはいけないという。そんな水野が提案するのは「おさわり四十八手」だ。共同作業を達成しての「ハイタッチ」、ツッコミ会話のなかの「ソフトビンタ」、他にも「爆笑もたれかかりタッチ」、席を立つ時に男の肩を使う「どっこいしょタッチ」、ヒゲを触る「ジョリジョリ確認」などなどナチュラルに男にタッチ、という高等テクニックだ。
他にはデート中、何が起きても「逆に、楽しい」と口にするなんてのもある。これは結婚後、様々なトラブルに遭遇しても「逆に楽しい」と思える女を男は生涯のパートナーに求めているからだとか。さらに男をホメるのは当然だが、一度ホメて、少し時間をおいて「…ていうか、マジですごくない?」と強調するなどなど、具体的で多様な婚活テクニックが紹介される。
これまでの婚活の常識を次々と否定し、くつがえしていく水野。しかし──。
本書を読み進めて行くといくつもの疑問が浮かんでくる。それを象徴するのひとつに「ファッション」編がある。
男にウケる服装と女のそれとは“格差”があるとはよく言われること。水野もまた「『私、ファッションに対する意識高いんで』とか思っている女が一番危ないんじゃあ!」と個性的ファッションを攻撃する。男が女に求める服装とは「可憐さと優しさ」であり、「『いつの時代も男受けする王道アイテム』を一切のこだわりを持たずに購入する」べきだというのだ。まあ、ここまでは何となく分かる。しかし水野の主張する「王様アイテム」は驚愕すべきものだった。
「白ワンピ シースルー 細ヒールの靴 てろてろスカート アンサンブル タイトスカート パステルカラーのトップス」
はあーー? そもそもこんなファッションで男の会話をツッコム若い女なんて存在するのか? 会話にはツッコミという個性を求め、ファッションは没個性。本当にこれが男が求める結婚したい女?? あまりにちぐはぐ。
いやまだある。それが水野が提唱する“理想”のホメ会話実践術だ。
男が頑張ったのに、ベストの行動をしなかった時の会話はこうだ。
「あんた、優しすぎ」「ミスター・ホスピタリティって呼ぶことになるけどいい?」「『紳士的』っていう言葉を辞書で引いた時あなたの名前を載せるように岩波書店にメールしておく」
かなり、サムい。